攻める総務

【台風10号】企業が今やるべきことは 総務のプロの警告「総務」から会社を変える

» 2024年08月29日 17時08分 公開
[豊田健一ITmedia]

 “迷走台風”が、各地に甚大な被害をもたらしている。

 気象庁が「最強」と評した台風10号は、土砂崩れや交通の混乱などを引き起こしている。多くの企業の担当者が、自社の従業員の安全をどう守るべきか考えながら注視していることだろう。

 現時点でできることは何か、また担当者は従業員にどう声掛けすべきか、解説する。

台風10号襲来 総務が今やるべきこと

photo 台風10号に備え、企業に必要な対応は?(提供:ゲッティイメージズ)

 まずは、台風の予想進路を確認する。今回の台風は迷走気味なので、随時確認する必要がある。長時間とどまる可能性もあり、また、急に進路が変わることもありそうだ。予想進路を確認し、その範囲内に自社の事業所や拠点がないか確認する。

 進路予想そのものからはある程度離れた位置であっても、大雨が降ることも考えられる。大雨警報が出ている、あるいは出そうな場所にある場合は、どうしても出社しなければならないケースを除いて、出社はせず自宅待機とすることを検討すべきだ。その上で従業員には、自宅がある場所のハザードマップの確認を要請する。従業員自身と家族の命を何より優先してもらい、その地域で出される警報に従って、早めに避難するように指示しておく。

 「当社は大丈夫」との油断は禁物だ。空振りに終わる可能性がよぎったとしても、非常事態が起きた際には取り返しがつかないことを考えれば、準備を惜しんではいけない。総務担当者は、場合によっては関係省庁のアナウンスよりもシビアに避難を要請すべきであろう。「空振りでも、素振りだと思えばよい」のだ。改めて、緊急避難グッズや避難場所の確認、そして実際に避難を経験するのは、自然災害の多いこの国で暮らす上での、重要な学びになるはずだ。

 台風は地震と異なり、避難する時間に猶予がある。会社と各従業員の防災能力を向上させる意味でも、今回を貴重な経験の場として活用したい。総務からそうした意図を伝えて、積極的に避難してもらおう

予想進路にある事業所での対応

 台風の予想進路にある事業所や拠点においては、特に入念にハザードマップの確認を行う。浸水や土砂災害の可能性があるようであれば、重要書類や機材を上層階に移動させておこう。こうした備えが完了次第、帰社させるか、地域によっては、そのまま避難所に向かってもらう。

 大きな工場であれば、むしろとどまっていた方が安全な場合もある。事業所や拠点から、自宅に戻る際のリスクを見極めたい。川を渡る、川沿いを移動する、アンダーパスを通過するなど、危険と隣り合わせの道を利用しなければならないケースもあるだろう。明るいうちに浸水への対応を終わらせなければならない。

 また新聞報道によれば、トヨタ自動車など、工場を休みとする企業も少なくない。事業を継続すると、どうしても残らなければならない人が出てしまう。事業所を休みにするという経営判断も必要だ。

 事業所を休みとするのであれば、明るいうちに自宅に戻り、さらに避難の準備をして、避難所に向かってもらうなどの声掛けを実施したい。この時間を日中に確保できるように判断を速めてもらう必要がある。

出張中などの従業員にもフォローを

 西日本などから出張で遠出していたところ、新幹線の計画運休や航空機の欠航の影響で帰宅が難しく、やむなくホテルに延泊する従業員もいるかもしれない。台風の東側にいる限り、いずれは台風がその地域に向かう可能性が高い。そうなると、慣れない地域での被災ということになる。そうした社員に対しては、総務が特に手厚くフォローすべきだ。

 地域のハザードマップを確認した上で、安全な場所で過ごすように伝える。ホテルに足止めされるのであれば、そもそも頑丈な建物なので大丈夫かと思うが、心細く感じている社員もいるかもしれない。何らかの手段で連絡をとり、安全確保をサポートしよう。

 また、取引先にも一報を入れ、理解を得ておく。逆に、取引先の状況の確認もできるよう、連絡手段の確認をしておくと良い。台風が過ぎ去った後、スムーズにビジネスが再開できるように準備しておく。

 とにもかくにも、まずは従業員の身の安全を確保することを徹底したいものだ。

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