例えば、全国のスーパーなどの販売データを集めた日経POS(販売時点情報管理)の3月データによれば、魚肉ソーセージの販売個数は68万個超と直近2年で最多。1000人当たりの販売金額も過去5年間で最高だったという。
では、なぜここにきて魚肉ソーセージの魅力が再発見されているのか。
まず大きいのは「値上げラッシュ」である。なかなか給料が上がらない日本の庶民にとって、魚肉ソーセージは家計を助ける「コスパのいい食材」と評価が上がっているのだ。そこに加えて、畜肉のハム・ソーセージが値上げをしているため、「魚肉シフト」が進んでいる、という指摘もある。
このような生活防衛的な視点に「防災意識の高まり」も追い風になっている。
ご存じのように今、日本は自然災害が相次いでいる。年明けに起きた能登半島沖地震を皮切りに各地で地震が続発し、南海トラフの臨時情報が出たかと思ったら、今度は過去最大規模の台風が上陸し、宮崎などでは竜巻で家を失った人も多くいる。
このような災害が発生すると必ず起きるのが「食料の買いだめ」だ。筆者は南海トラフ地震臨時情報が出た後、近所のスーパーに行ったら、水やカップ麺をカートに山盛りで購入する人々を多く見かけた。今問題になっている米不足も、スーパーやディスカウントストアでまとめ買いをする人が増加したことも一因と言われている。
このように消費者の「食料備蓄志向」が強くなった時というのは「常温保存」のものがよく売れることは言うまでもない。スーパーで冷凍食品を山ほど買い込んでも、これまでの巨大地震や台風を見ても分かるように、被災地は停電をする可能性が高いため生鮮食品や冷凍食品は保存が難しいのである。
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