ファミリーマートでは、セブン以前から小型店を出店してきた。例えば2021年3月に初出店した「無人決済コンビニ」はその一つである。東京・丸の内の1号店は55平方メートルと従来店の3分の1程度で、アイテム数も通常の約3000に対して700とかなり少ない。役所や病院のほか、駅にも出店しており、セブンとは対照的に一般向けにも解放している。基本的には近くの既存店に付随する「サテライト店」として出店している。
無人決済コンビニではTOUCH TO GO社のシステムを導入している。客は商品をスキャンする必要はなく、商品を手に取り出口付近のセルフレジに寄ると、ディスプレイに決済内容を表示する仕組みだ。天井に設置したカメラなどから客が手にした商品を認識している。
無人決済コンビニは全体の30〜40%を占めるレジ回りの業務を削減する効果があるという。2024年度までに1000店舗という目標にはほど遠いが、地方を中心に年間10店舗程度のペースで出店を進めている。
無人決済コンビニの目的は工場やオフィスなどの小さな商圏、いわゆるマイクロマーケットの開拓だ。会社の福利厚生を軸に出店するセブンのコンパクト店舗も同じ目的といえる。ミニストップも同様の「ミニストップポケット」を出店しており、コンビニ業界ではマイクロマーケットの開拓が潮流となっている。
ファストフード業界のマクドナルドも、同様に小型店を展開している。別館を意味する「ANNEX店」として開店。厨房とカウンターのみを設置したデリバリー・テークアウト専門店で、イートイン席は設けていない。一方でメニュー数は絞り込まず、通常店と同様のラインアップを提供する。
かつてマクドナルドは「サテライト店」という名でメニュー数を制限した小型店を展開していたが、メニューの少なさが弱みになっていたため、ANNEX店では制限しないことになったという。とはいえ2023年9月に2号店として糀谷駅前ANNEX店を開店した後の開店情報はなく、下火になっている。
ケンタッキーはコロナ禍の2021年11月に「ミニドライブスルー店舗」を開店した。ドライブスルー以外に店内レジも利用可能で、客席は設けないデリバリー・テークアウト専門店である。店舗面積と従業員数はともに既存の郊外型店舗の7割程度で済むという。ただしこちらもマクドナルドのANNEXと同様、下火になっており、2023年度までに129店舗という目標には至っていない。もともとイートイン比率の低いファストフード業態において、客側から見たデリバリー・テークアウト専門店のメリットは小さいのかもしれない。
ちなみに吉野家もテークアウト・デリバリー専門店を展開している。50平方メートルの店舗面積は従来店の半分程度で、初期投資額も半分以下である。主に商店街の路面や角地に出店しており、現段階で40店舗程度であり、こちらも本格的な展開には至っていないようだ。
モス、新業態「ドリンクスタンド」開業 超狭小物件への出店可能性も検証
消えた学食を救え ファミマが無人コンビニで「初」の取り組み 新たな鉱脈探るCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング