カインズが6月に発売したオリジナル商品「すき間を埋めるキッチンマット」が売れている。きっかけとなったのが、同社の公式Instagramでの投稿動画だ。
「キッチンと床の隙間って、ゴミがたまりがちなのに掃除がしづらい…」そんなキャプション(説明文)とともに7月20日に投稿した動画が、935万回以上(9月27日現在)再生された。投稿直後には、欠品となる店舗もあったという。一部店舗に限られていた販売も、好評を受け9月からは全店舗に拡大した。
一見するとよくあるキッチンマットのようだが、なぜここまで注目を集めたのか。開発担当者に背景を聞いた。
同商品は、PVC(ポリ塩化ビニル)素材のキッチンマット。キッチンに接する部分にL字の折り目加工が施されている点が特徴で、サイズは45×120、45×180、45×240、60×240(いずれも縦×横、単位はセンチ)の4タイプを展開している。価格は順に1280円、1980円、2480円、3480円。
開発背景について担当者は、「キッチンマットを購入したお客さまの声がきっかけ」と話す。「キッチンと床の隙間には、ほこりや米粒、ピーマンの種といったごみがたまりやすく、掃除機も入らないので掃除がしにくいという声があった。解消するために筋を付けてL字にできるようにし、奥にごみがたまらないようにしました。難しい機能ではありませんが、そのアイデアがバズった大きな要因だと思います」
開発に当たっては、固定したときに折り目がしっかりと自立する硬さと、上に立っていても疲れにくいクッション性を両立させることに苦心したという。
また、「ラインアップに無地がある」点も重要だったのではないかとのこと。すき間を埋めるキッチンマットは全12種類。フラワー柄やリーフ柄など、うち8種類は柄物だが、Instagramの投稿で紹介したのは無地の4種類だった(色はモカ・ピンク・ベージュ・グレー)。「キッチンマットには意外と無地の品ぞろえが少ない。『インテリアの邪魔をしない無地が欲しい』というお客さまにも刺さったのでは」と担当者は話す。
売り上げも好調だ。9月25日に行われたカインズの新商品発表会で、同社の高家正行社長は「最初の10日間で700万回再生された。カインズの来店客(レジの通過者数)が年間で1億5000万人なので、それと比較しても、とても大きな数だ」と言及。「店頭で、あるいは文字で伝えられる情報量は限られる。リアルとデジタルをうまく組み合わせて、商品の良さを伝えていきたい」と話した。
購入客の声をきっかけに生まれたキッチンマット。拾い上げた身近な悩みがSNSユーザーの共感を得たことで、成功につながったといえそうだ。「リアル×デジタル」の組み合わせによって、同社に次なるヒット商品は現れるか。
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