米国のビッグマックが「850円」もするのは、なぜ?『ビッグマックと弱い円ができるまで』(2/2 ページ)

» 2024年10月24日 08時00分 公開
[佐々木融ITmedia]
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ビッグマックと弱い円ができるまで』(著・佐々木融/クロスメディア・パブリッシング)

 このように、「円」と「米ドル」を交換する時、何円と何ドルで交換するかを決める必要があるわけだが、その交換比率が「米ドル/円相場」だ。

 世の中にはたくさんの国があるので、たくさんの通貨が存在する。それぞれの通貨と通貨の交換比率のことを「外国為替相場」と言う。通貨と通貨の交換は毎日世界中で頻繁に行われているので、外国為替相場は、日本の月曜日の早朝から、米国の金曜日の夕方(日本の土曜日の朝)まで、常に変化している。

 英国のエコノミスト誌が世界のビッグマックの価格を調べていて、米国のビッグマックの価格は平均すると5.69米ドルだそうだ(2024年7月公表のデータ)。今、円を米ドルに交換しようとすると、1米ドルを受け取るのに150円必要になる。簡単な掛け算をすると、先にも触れたように、150円(米ドルと円の交換レート)×5.69米ドル(米国のビッグマックの値段)=約850円になる。

 もし、今よりももっと米ドルが高くなって、円が弱くなって、1米ドル=180円になってしまったら、米国のビッグマックは1024円になってしまい、千円札1枚ではビッグマック1個(飲み物・ポテト付きのセットではなく、ビッグマック1つだけ)も買えなくなってしまう。

【まとめ】

1米ドル=180円になると、米国のビッグマックは、千円札では買えなくなる!

著者プロフィール:佐々木 融(ささき・とおる)

ふくおかフィナンシャルグループ・チーフストラテジスト

 1992年上智大学外国語学部英語学科卒業後、日本銀行入行。調査統計局、札幌支店を経て1994年から1997年まで国際局(当時)為替課に配属。市場調査・分析の他、為替市場介入も担当。その後考査局を経て、2000年7月よりニューヨーク事務所に配属され、NY連邦準備銀行等、米国当局と情報交換を行いつつ、外国為替市場を含めたNY市場全般の情報収集・調査・分析を担当。

 2003年4月、JPモルガン・チェース銀行にチーフFXストラテジストとして入行。2009年6月債券為替調査部長、2010年5月マネジング・ディレクター、2015年6月市場調査本部長。20年以上にわたってJPモルガンの世界全体のオフィシャルな円相場予想作成の責任者を務める。2023年12月より現職。

 日経ヴェリタス為替アナリストランキング、2016年及び2018年〜2021年まで4年連続1位。インスティテューショナル・インベスターズ誌日本為替アナリストランキング、2019年、2020年1位。2024年3月、財務省「国際収支に関する懇談会」委員。著書に『弱い日本の強い円』(日本経済新聞社、2011年)『インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?』(ダイヤモンド社、2013)がある。


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