「週休3日」というとインパクトの強さが目立つが、JR西日本は働き方の柔軟性を高める施策を、以前から段階的に進めてきたという。
まず、社員フレックスタイム制の整備だ。2014年度にはコアタイムを廃止し、2023年度にはフレキシブルタイム(出勤・退勤が可能な時間帯の指定)も廃止。月間の所定労働時間さえ満たせば、時間帯や労働時間を問わず柔軟に働くことができる制度として機能しているという。
また、3歳までの子を養育する社員を対象に、1日の所定労働時間を7時間45分から6時間に短縮する「短時間勤務制度」を2010年に導入。このほか育児に携わる社員については、休日数を増やした働き方も整えてきた。
2013年度には、小学6年生までの子を養育する社員を対象に、所定の休日に加えて1カ月に4日、または2日の休日を指定できる「短日数勤務制度」を導入。2017年1月からはこれを、要介護状態にある家族を持つ社員にも拡大した。このため、以前から同社では「育児や介護をする社員については、実質的に週休3日程度の働き方を選択できる環境だった」という。
なお、2018年度からは、小学3年生までの子を養育する乗務員を対象に、月に追加できる休日数を「8日」に増やし、2024年12月からは乗務員以外にも対象を拡大。場合によっては、実質的に「週休4日」程度の働き方も選択可能ということになる。
同社は現在も制度のアップデートを続けており、2024年12月からは、難病・障がいを持つ子を養育する社員について、子の年齢が中学生以上でも、月に4日または2日の休日を取得可能とした。育児・介護の有無を問わない週休3日制の導入も、こうした施策の延長線上にあるものだといえるだろう。
選択的週休3日制を導入すると「会議の日程が合わせづらくなる」といった声も上がりそうだが、こうした懸念も以前からの取り組みによってある程度払拭できていたようだ。同制度を用いる場合などは、「業務に支障をきたさないよう、上司に報告することにしている」という。
「Teamsなどのコミュニケーションツールも全社に導入しており、社員の勤務時間や勤務日にばらつきがあったとしても、コミュニケーションを取りやすい環境を整えています。こうした状況も踏まえ、選択的週休3日制の導入に至りました」(同社)
導入の決定後は、特に育児・介護と両立しながら働く社員から、「ワークライフバランスを意識しながら、メリハリをつけて働けるようになる」といったポジティブな意見が多く集まったという。JR西日本は取材に対し、「社会情勢の変化や導入後の運用状況などを踏まえ、引き続きよりよい制度を設計していく」とコメントした。
同じくフレックスタイム制などで働き方の自由度を高めている他企業においても、同様の動きは広がるか。今後とも注目される。
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「週休3日制」が日本でこれほどまでに根付かないワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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