10月10日には、2025年度中にセブン&アイの社名を「セブン‐イレブン・コーポレーション(仮)」に改名し、コンビニ専業となることを発表。イトーヨーカ堂や外食のセブン&アイ・フードシステムズ、専門店のロフト、赤ちゃん本舗などは、傘下の中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」を設立し、そこに紐づけることになった。株式公開を目指し、2025年度中に戦略的パートナーを招いて持分法適用会社化するという。
コンビニ専業化はある意味一本足打法で、市場の急速な変化が起こった場合にもろいリスクもあるが、コングロマリット・ディスカウントの考えが株式市場を支配しているのならば、対応せざるを得ないだろう。持分法適用会社化くらいでは「徹底していない。ぬるい」と反発されるかもしれないが。
日本にコンビニは約5万7000店あるが、日本経済新聞の調べでは2022〜23年度の2年連続で微減していることが明らかになった。飽和点に達し、人手不足もあって、より良い立地にリロケーションを図るとともに、売り上げの良い店に営業を絞る傾向が出ているという。
国内セブン‐イレブンの既存店売上高は、1%以内の微減ではあるが、6〜9月まで4カ月連続で前年を割っている。反対に、競合のファミリーマートとローソンはこの間ずっと既存店売上高が前年を上回っており、3大チェーンでセブン‐イレブンのみが売り上げを落としている状況だ。
その理由には、セブン‐イレブンの商品が高くなったということがあるだろう。セブン‐イレブンは7月16日より「手巻きおにぎり」のツナマヨネーズとしゃけ(ともに138円)を手始めに、「うれしい値!」という消費者から見た安売り商品を売り出した。しかし、中には値段が変わっていないと思われる商品もある。9月末まで計270アイテムで展開しているが、値下げするなら徹底してもらいたいものだ。
また、9月3日から東京都・埼玉県・千葉県において、ドーナツをカウンター周りで復活させた。カレーパンの成功体験を生かして揚げたてを売りにしているものの、店員に聞くと、スタートダッシュは良かったが早くも失速している模様だ。
「7NOW」という宅配の仕組みを全国に広げて、ピザのデリバリーを始めるとの発表もあったが、深刻化する人手不足の問題を含めて、ドミノ・ピザなどに対抗できるか未知数だ。
この不振をどのように抜け出すか、今後の動向を注視したい。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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