河合: ここまでのお話で年次に基づく「階層」を取っ払うというのは理解できましたが、例えば、新入社員が「マネジメントに行きたい」と入社そうそう手を挙げた場合、若くして評価する側になるわけですよね。そうなったときに、やはり年齢とか経験は大きな壁になりませんか。
あるいは、海外で経験を積んできた若い社員が、年功序列で動いてきた日本の組織で本当に活躍できるのか。人は現場で悩み、現場のメンバーと共に戦った結果として成長すると思うのですね。経験だけではだめですが、経験もやはり不可欠じゃないかと。
北山: 実力があって早く登用されるのは、やはりその領域で認められてきた人なんですよね。早く登用されるパターンというのは、これからのキャリアの考え方においては、幅広く経験するというよりも、ある業務領域に少し長くいる場合が多いと思います。
これは必ず一つの部でというわけではなくて、ある程度同質的だといいますか。キャリアの軸は大きく変えずに幅をつけられるような、異動を組んでいくというイメージです。職種や現場によっては年次運用的なものが残ってもいいと思ってます。
経験や熟練度が実力になる領域だと、コロコロと逆転が起きるのはあまり好ましくない。ただ、その中においても「力がある人がいる」というのであれば、その人がきちんと上がれるようにしていくことが重要だと考えています。
※本記事の後編は11月13日公開予定です。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)、『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか - 中年以降のキャリア論 -』(ワニブックスPLUS新書)がある。
2024年1月11日、新刊『働かないニッポン』発売。
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