河合: 銀行を利用するお客さんとして、今のお話をすごくシンプルに考えると、2001年時点の銀行さんはお金を貸してくれるところ、お金を預けるところで利子がたまることが業務だった。でも、今は銀行に預けて終わりじゃなく、例えばNISAだったり投資だったりをする。電子マネーも普及しお金との関わり方に変化が出てきた。
そういった環境の変化に対応するための人事制度改革なので、これまでの人事改革の延長線ではあるけども、延長と断言できるほど単純じゃない──と言う理解でよろしいですか。
北山: はい、大丈夫です。今回の人事改革では、ビジネスの領域に応じて評価や処遇もカスタマイズできるようにします。
今までは、全領域が「階層」という一つのフレームの中で評価されました。1学年400人いたら1から400番まで番号をつけるような感じですね。でも、これはおかしいですよね。だって、求められるものに、それぞれ違いが出てきているわけですから。
河合: 領域によっては、今まで通りの年次的な考え方がなじむ場合もあると思うのですが。
北山: その通りです。そこはこれまで通りの運用していけばいいと考えています。
河合: 人事制度が変わることによって、働く側にとって良い点、悪い点を具体的にご説明いただけますか。悪い面はなかなか言いたくないかもしれませんが(笑)。
北山: 良い面は、いろいろなところで発信している一方で、悪い面を見せていないと思われるのは人事のサガだと思ってます(笑)。各種報道にも書いてないことも、当然多々あります。でも、本当の実力本位を作り上げていきたいんですね。
キャリア採用や新卒採用、若手、中堅、シニアに関係なく「階層」というものをなくして、「役割等級」にすることは社員にとっても良いことだと信じています。
社員とって悪い面は制度施行の2026年までに、丁寧なコミュニケーションをする中で拾いあげ、より良い方向にまとめるつもりです。
河合: 「階層」がなくなり実力中心の制度設計になれば、社員が実力をつける教育が不可欠だと思います。
昭和の日本企業は社内教育を徹底していましたし、外資系の場合は、自分がやるって手を挙げれば、全面的にバックアップできる教育リソースを用意している。今回はどうなのでしょうか。能力ある人、実力ある人の「能力」や「実力」はどこから来るものなんですか。
北山: 評価の軸は「行動評価」と言われるものです。領域ごとに求められるものが変わってくるので、それに対するアウトプット、行動発揮が評価のベースになります。果たされれば、次の役割、あるいは次の役割等級のレベルに上がっていく機会をつくる。「自分はもっとこっちのキャリアをいきたい」といった、キャリアの領域をまたぐようなところは本人が手を挙げてチャレンジしていけるような枠組みにします。
河合: 求められるものに対してちゃんとアウトプットできるか、結果を出せるかどうかっていうところに尽きる、と。
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