「企業価値を高めるESG指標」TOP30 1位になった「役員に関する指標」とは

» 2024年11月27日 11時23分 公開
[サトウナナミITmedia]

 企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の取り組みを評価するESG指標は、企業経営における非財務指標の一つとして重視されるようになってきた。中でも、どのような指標が企業価値の向上に関係するのか?

 マネジメントコンサルティングなどを手掛けるアビームコンサルティング(東京都中央区)は、企業価値の向上とESG活動における指標の相関を明らかにすることを目的に分析調査を実施し「日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30(2024年度)」を発表した。

photo 2024年度日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30(写真AC)

企業価値を向上させるESG指標TOP30

 今回の分析調査では、アビームコンサルティングのエグゼクティブアドバイザーであり、早稲田大学客員教授である柳良平氏が提唱したESGと企業価値の関連を示す計算式「柳モデル」を用いた。同社がこれまでに支援した日本企業の非財務データ分析に基づき、企業価値と強い相関を示す具体的な指標を抽出。多くの企業で企業価値と相関が認められる指標上位30位を新たに明らかにし、ランキングにまとめた。

 日本企業の企業価値を高めるESG指標の1位には、前回調査ではランク外だった「役員の平均年齢」が選ばれた。2位は「産業廃棄物排出量」、3位は「リサイクル率」と続いた。また、前回調査から継続して21の指標が今回調査でもランクイン。企業価値向上に中長期的に寄与することが明らかになった。

photo 2024年度日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30(写真AC)

 一方で「研究開発による創出製品数」(4位)、「企業ブランド調査結果」(14位)、「CO2排出量-スコープ3/カテゴリ11」(22位)「従業員エンゲージメント」(25位)などが、新たにランクインした。特に「研究開発成果」や「ブランド力」関連の指標が上位に入っていることから、企業の競争力の源泉となり得る非財務資本を増強することが、企業価値を押し上げ得ると示された。

 また、「CO2排出量-スコープ2」は前回の16位から5位へと大きく順位を上げた。多くの企業がカーボンニュートラルの取り組みを強化した結果であるとともに、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減が企業価値向上の重要な要素であると明らかになった。

 同社は「企業が意識すべきESG指標の幅は着実に広がっている。この傾向は、企業が非財務資本の重要性をより深く理解し、事業活動との連動を通して、その価値を最大化するための具体的な取り組みの推進が求められていることを示唆している」「定量的な検証を通じて、どの非財務資本が企業価値に寄与するかを特定し、適正配分を実現することが重要」とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR