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“出戻り採用”は企業にとって合理的 今すぐ始めるべき2つの理由(2/2 ページ)

» 2024年12月13日 07時00分 公開
[山本りえITmedia]
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「退職者とのつながり=自社の資産」と捉える風土に変える

 アルムナイ採用を導入するに当たっての主なポイントは次の3点です。

1:退職をポジティブもしくはニュートラルに捉える風土を作る

 アルムナイ採用を人材獲得手段の一つとして仕組み化するためには、退職をポジティブもしくはニュートラルに捉える風土づくりことが欠かせません。

 現状は、会社側からみると「退職=損失」、既存従業員からみると「退職=裏切り・脱落」などと、退職がネガティブな印象になっている企業が多いのではないでしょうか。しかし、それではアルムナイ採用は浸透しません。

 アルムナイ採用を実施する前に、退職を「卒業」と置き換え、「退職者とのつながり=自社にとっての資産」と捉え直す必要があります。

 「離職・転職は、新たにチャレンジしたり、能力を獲得したりするポジティブな行動だ」。あるいは、「離職・転職は、個の幸せを追求する一つの選択だ」。会社も従業員もこのように考える風土を醸成することが大切です。

 それが実現できると、退職者を送り出すとき、受け入れるときの会社と従業員の姿勢が変わります。反対に、退職をネガティブに捉える風土のままだと、せっかく採用したアルムナイ人材がネガティブな風当たりに負けて再離職してしまう可能性が高まります。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

2:復職の基準や条件の整備と仕組みを構築する

 アルムナイ採用を行うに当たっては、どのような基準や条件であれば復職を認められるか、どのような採用の仕組みを作るのかなどを整備する必要があります。

 「離職時の資格〇級以上」「自社での勤務年数〇年以上」といった基準を設けたり、雇用形態や勤務形態などの条件を整えたり、「再雇用サイトの登録者に求人募集を出す」「サイト登録者には定期的に社内情報の発信やイベント情報の提供をする」など、採用やネットワークの仕組みを構築したりします。

 復職制度の整備と構築は、既存従業員からの納得を得る上でも重要です。誰でも簡単に出戻れるとなれば、社外への転職リスクが高まるだけで、自社への帰属意識や業務へのモチベーションが下がってしまう可能性があります。

 一方で、ハードルが高すぎるとアルムナイの採用につながらないため、自社の採用市場での競争力を見ながら、出戻りのハードルの高さを調整することが肝要です。

 また、アルムナイに提供する情報ルートや情報コントロールにも注意が必要です。採用後の処遇や条件については、通常のキャリア採用者と同様に、既存従業員から不満が出ないような透明なルール設定を行うことにも留意しましょう。もちろん会社として、出戻り社員の受け入れ態勢を整備することも求められます。アルムナイ採用を導入する際には、以上のようなことに十分注意すべきです。

3:退職時・退職後も良好な関係を築く

 アルムナイ採用を進めるためには、企業側・人事側が、自社のアルムナイ従業員(卒業生)と緩やかにつながり続け、ネットワークを築く必要があります。

 そのためにはまず、退職時に職場・会社が卒業者一人一人を気持ちよく送り出すことがポイントになります。定年退職者を送り出す際、卒業式のような場を作ったり、花束やメッセージを渡したりする職場や企業は多いはずです。定年退職者のほうも、お世話になった人たちにお礼メールを出すケースがよく見られるでしょう。

 自己都合退職においても、同じように扱うことが大切なのです。そうやって退職後の連絡先などを交換できるような場や関係性をつくり、退職者に「再び戻ってこられるのだ」という印象を与えることが、後のアルムナイ採用につながります。

 退職者は、一度社外に出て、越境学習したからこそ視野が広がり、自社の強みも弱みも客観的に捉えられるようになります。アルムナイ採用者の意見を人材マネジメント全般に反映することで、企業は職場の魅力を高めたり、採用や従業員エンゲージメントにプラスの効果をもたしたらしたりできる可能性があります。

 一度、図表3のように自社のアルムナイ採用で想定されるメリット、デメリット、対策を洗い出してみてはいかがでしょうか。意外に導入のハードルは高くないかもしれません。人材獲得戦略の一つとして検討していただきたいと思います。

photo 【図表3】アルムナイ採用のメリット・デメリット・対策の洗い出し例

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