なぜ星野リゾートは「マルチタスク」に取り組むのか? 独自の働き方改革が生んだ意外な効果長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)

» 2024年12月30日 06時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

4つのタスクを身につける

 星野リゾートでは、サービスチームのタスクは大きく4つに分類される。「客室清掃」「調理」「レストランサービス」「フロントサービス」だ。4つの枠に収まり切らないものもあるが、臨機応変に担当者を割り当てていく。

 新入社員として入社すれば、新卒、キャリア採用にかかわらず、OJTにより、複数のタスクの習得を同時並行で進める。

 タスクを一通りこなせるまでには、人によって習得のスピードは違ってくるが、概ね半年ほど掛かるという。

顧客の要望に対応するための取り組みを実施する

 調理の現場に、料理人以外の人が入って大丈夫かと思うかもしれない。もちろん、専任で調理業務を行うスタッフもいる。しかし、厨房では、材料を切ったり量ったり、調理する食材を個別に仕分けしたりと、専門に勉強してきた料理人でなくてもできるさまざまなことがある。そうした部分が、マルチタスクに組み込まれている

 夕食の前には仕込み仕事をしていた人が、実際の夕食の時間にはレストランのスタッフとして顧客の案内や注文取り、配膳をしているケースもある。自分たちが参加して作った料理を、顧客の席にまで運ぶと、気持ちの入り方がそうでない場合とは全く違ってくる。

 このような実践の積み重ねが、質の高いサービスを生んでいく。

 料理を料理人のアンタッチャブルな専門分野にし過ぎないことが重要だというのが、星野リゾートの考えだ。

 サービススタッフも厨房に入ることで、時には料理の盛り付けを変更してもらうように料理人にリクエストできる。逆に料理人からは顧客に苦手な食材があっても、調理の仕方で食べやすくなっていることを提案するように、サービススタッフに求めるといった取り組みが行われている。

星のや京都、革新的会席料理「真味自在」の蒸し寿司「お凌ぎ 甲羅寿司」

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