ロピアはコストカット策も独特だ。かつて大型スーパーで見られた、100円のコイン式カートを導入している。コイン式カートは100円を投じないとロックを外せない仕組みで、所定の場所に戻すと100円が戻ってくる。額は非公開としながらも、カート回収にかかる人件費の削減につながっているという。
コスト削減策の一環として、基本的に支払い方法を現金に限定している(一部店舗で電子マネーの運用を模索するなどの例外あり)。クレカの手数料率は3%前後であり、営業利益率が低いスーパーでは大きな負担となる。その他には、食品スーパー「OK」と同じく、飲み物を常温で販売することで光熱費の削減に努めている。
ロピアは売場面積600坪ほどの大型店がメインであり、1店舗当たりの年間売上は約40億円で、一般的なスーパーの2倍以上である。それだけ集客力や販売力が高いということであり、急速に店舗拡大できたのも、消費者が強く支持したからだ。
日本版コストコという異名の通り、一部商品を大容量で提供している点が消費者から評価を集めるポイントだろう。イオンやイトーヨーカドーなどの大手チェーンでは、見かけの値段を安くするためか、小さい容量の商品も多く見かける。「値段は並みで良いから、容量の充実した商品を買いたい」――こうしたニーズをつかみ、ロピアは伸びたのではないだろうか。その他、個店主義がもたらす、商品の非画一性によるレジャー要素も見逃せない。店内では、コストコのように商品選びそのものを楽しんでいる客も目立った。
ロピアは2031年までにグループ売上高を2兆円にすることを目標とし、近年では外食事業も強化している。強気な目標設定を達成できるかは未知数だが、大手スーパーが「大容量ニーズ」に対応できない限り、ロピアの成長は続きそうだ。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
「ロピア」運営会社、有名パティシエ代表の高級洋菓子店を買収 アジア展開など新規事業進める
アークランズとロピアが業務提携、北陸3県で10年後に1000億円の売上を目指すCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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