ストーリー形式で話をするには、3つのポイントを押さえておこう。
まずは背景の描写だ。物語に味をつけるには、奥行きをつけなければならない。そのためには、丁寧に背景を語ることだ。
なぜその人と出会ったのか。その学校に通った目的は? 家族構成や組織における特殊な事情。新しい商品を開発せざるを得なくなったいきさつとは?
数字と固有名詞を使ってバックボーンを丁寧に話せば、聞き手の頭に鮮明なイメージが描かれるだろう。
次に重要なのは、ターニングポイントだ。物語には必ず思いがけない「重大な転機」が訪れるもの。それをきっかけに話が予想外の方向へ進んでいく。起承転結でいうなら「転」の箇所だ。想定外のことが起きて、方向転換を迫られた話などは必ず盛り込んだほうがいいだろう。
一本調子、順風満帆の物語など聞いたことがないし、誰も聞きたくない。なぜならウソっぽいからだ。
(1)新しい挑戦→(2)素晴らしい出会い→(3)驚くほど成功
こんな物語など、誰の心も揺さぶらない。だから何らかの想定外のこと、予期せぬ出来事を物語の中に入れよう。
ただし、以下のようにそのまま「失敗」を入れてしまうと、単なる「オチのあるストーリー」になってしまう。
(1)新しい挑戦→(2)素晴らしい出会い→(3)まさかの大失敗
相手と関係を作りたいときにあえて自分を落とす物語をするのはいいだろう。自分の成功談ばかり話す人は共感されにくい。
ただ、組織メンバーを鼓舞したいときやお客さまに商品を紹介したいとき、採用面接で自分を売り込みたいときには使えない。
その失敗の出来事をきっかけに物語が大きく動き始める。そうなってはじめて、その出来事がターニングポイントとなる。ウソはいけないが、そのような出来事がなかったかしっかりと思い出し、多少の飾りつけをする。そしてこのようなターニングポイントを1カ所か2カ所は入れてみる。
「かつてのクラスメートに同窓会で馬鹿にされた。あれがターニングポイントだった」
「お客さまから呼び出され、こっぴどく叱られた。あの悔しい出来事がなければ、この商品は出来上がってなかったと思います」
このように話すことで、相手の関心は一気に高くなる。物語は単なる直線で描かれない。なだらかな曲線でもない。カクカクした折れ線になるのが普通だ。だから最終的に成功する物語でも、一回は落としたほうがいい。
(1)新しい挑戦→(2)素晴らしい出会い→(3)想定外の連続・挫折→(4)突然のチャンス到来→(5)なんと大成功!
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