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部下の意見「聞いて終わり」 ”傾聴地蔵”が崩壊させる組織、どう変えるべきか石角友愛のキャリアコンパス(2/3 ページ)

» 2025年01月27日 08時30分 公開
[石角友愛ITmedia]

米国の成功例、Googleに学ぶ

 こうした問題に対し、米国では「従業員エンゲージメント」に焦点を当てたプログラムが成功を収めた事例もあります。Googleが創業当初から導入している「OKR(Objectives and Key Results)」は、組織全体の目標と個人の目標をリンクさせる仕組みです。

Googleが創業当初から導入している「OKR」とは?(画像:ゲッティイメージズより)

 このプロセスでは、個々の従業員が明確なゴールを持ち、その達成状況が定期的にレビューされます。上司と部下が定期的に対話を行い、目標の進捗や課題を共有することで、部下の意見が単に「聞き流される」状態を防ぎます。

OKRの運用プロセス

 OKRの運用プロセスは以下の通りです。

  • 目標設定
    • 経営陣が全社のOKRを設定し、それを基に各部門やチームが連動したOKRを設定
    • 個人のOKRもチームや部門のOKRと連動させることで一貫性を保ちます
  • 進捗管理
    • OKRの進捗は定期的にレビューされます。Googleでは週次定例や四半期レビューを通じて目標達成状況を確認します
  • 学びの共有
    • OKRを達成できなかった場合も、失敗を分析して次の目標設定に生かします。このプロセスがイノベーションを推進する基盤となっています

 GoogleがOKRを活用して成功した例として、Gmailの開発が挙げられます。Gmailチームは、OKRを通じて次のような目標を設定しました。

  • Objective
    • 革新的なメールサービスを提供する
  • Key Results
    • 1年間で100万人のアクティブユーザーを獲得する
    • 送信速度を業界平均の2倍にする
    • 全ユーザーに無料で1GBのストレージを提供する

 このように、Objectiveには大きな目標を、Key Resultsには数値などを伴うより詳しく具体的な目標が設定されているのがポイントです。OKRによる挑戦的かつ具体的な目標設定と、上司との細やかな対話がGmailをはじめとしたGoogleのイノベーションを支えてきたのです。

 最近では、日本でも対話型アプローチを取り入れた企業が増えていますが、形式的な「対話会」や「エンゲージメント調査」に終始するケースが少なくありません。Googleの事例に学ぶべきは、単なる形式的な施策ではなく、目標と行動を明確に結びつける仕組みを構築することです。

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