窮地の日産、ホンダとの協議開始は「最後の審判」か 統合に至るまでに乗り越えるべき課題(1/4 ページ)

» 2025年01月28日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


 2024年末に発表があった、ホンダと日産による経営統合の協議開始は、同年春に発表したEVでの協業、同11月の日産の業績悪化報道から、ある程度予想された展開ではありました。とはいえ、仮に日産傘下の三菱自動車を含めた経営統合が実現すれば、販売数で世界第3位の自動車グループが誕生するわけで、わが国の産業界にとって屈指の大ニュースです。

 両社それぞれの思惑はどこにあり、またこの話は首尾よく進むのか、それとも否か。そのためのポイントはどこかなどを、探っていきます。

世界3位の自動車グループは、果たして生まれるのか(出所:ゲッティイメージズ)

「日産救済ではない」ホンダ社長が強調したワケ

 まず、どのような経緯で統合の協議を開始するに至ったのかを考えてみます。引き金は間違いなく、日産が2024年11月に純利益9割減に伴う工場閉鎖と、9000人規模の人員リストラを発表したことにあるでしょう。

 同時に水面下ではファンドの日産株買い増しも確認され、直近では台湾の鴻海精密工業から買収を持ちかけられたとの複数報道もありました(なお、内田誠社長は会見で否定しています)。

 常識的には、この状況下で日産が業務提携先であるホンダに、実質的に「助け舟」を求めたと考えるのが自然でしょう。ホンダが持ち株会社のトップと、取締役の過半の指名権を持つとの発表が、それを裏付けています。

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 しかし、三菱自動車も交えた3社の会見で、ホンダの三部敏宏社長は協議について「日産救済ではない」と強調しました。これはどういう意味なのでしょうか。

 表向きは、市場で日産との経営統合がホンダに負担を強いられるものと受け取られ、企業価値を下げることを恐れてのことであったと捉えられます。しかし、少し深読みすると、日産の業績正常化なくして統合計画は前に進まないということを、同席している日産・内田誠社長に念押しした、とも受け取れるのです。

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