AI技術の進展とともに、AIエージェントは多様な業界や分野で革新をもたらしています。本コラムでは、注目すべき7つの事例(Reducto、Trellis、Multion.ai、tennr、HappyRobot、DataSnipper、Parcha)を取り上げます。
現時点では、特定の作業において処理を高度化したり、特定の業界や業務の専門性を高めるために活用したりするケースが多いです。それぞれの特徴を解説していきます。
Reductoは、データ抽出に特化したAIエージェントです。複数のビジョンモデルをトレーニングすることで、枠のない表からでも正確にデータを抽出する能力を持ちます。競合モデルと比較して10倍の速度を達成し、精度も30%向上しています。この性能の高さにより、法律、医療、金融といった多様な分野での活用が進んでいます。
さらに、Reductoは7桁の年間定期収益(ARR)を達成し、シードラウンドで840万ドルを調達するなど、ビジネス面でも成功を収めています。
特徴としては、以下があります。
Trellisは、非構造化データをSQL(データベースを操作するためのデータベース言語)準拠のテーブルに変換するAIエージェントです。自然言語で定義したスキーマを使用することで、財務文書、契約書、電子メールなどの複雑なデータソースにもSQLクエリを実行可能にします。これにより、データ分析や管理が効率化され、多くのビジネスプロセスに革新をもたらします。
特徴としては、以下があります。
Multion.aiは、Web上でタスクを完了するAIエージェントです。自然言語での指示に基づいて動作し、サイト上に簡単にチャットボットを設置することが可能です。Chrome拡張機能として利用できるだけでなく、APIを通じて開発者が独自のアプリケーションに統合することもできます。
特徴としては、以下があります。
tennrは、医療事務に特化したAIエージェントです。医療機関の紹介フローを自動化し、紹介状やファックスからデータを抽出して事実関係を確認します。その後、抽出したデータを既存の医療系ビジネスソフトに入力することで、手作業の負担を軽減し、業務効率を向上させます。
さらに、同社の独自モデル「RaeLM™」は400万以上の医療文書を学習しており、高度な精度での処理が可能です。2024年にはシリーズBで3700万ドルを調達し、研究開発や営業チームの拡大を計画しています。
特徴としては、以下があります。
HappyRobotは、物流業界向けに設計されたAI音声アシスタントを提供するプラットフォームです。これらのAIワーカーは、電話やメールなどのコミュニケーションを自動化し、業務効率を向上させます。具体的には、キャリアセールスやチェックコールなどの物流特有のタスクに対応するよう、実際の通話データセットを用いてモデルを最適化しています。
特徴としては、以下があります。
HappyRobotのAIワーカーは、物流業界におけるコミュニケーションの自動化を推進し、業務の効率化とスケーラビリティの向上に寄与しています。
DataSnipperは、監査や金融業務におけるドキュメント処理を効率化するツールです。スプレッドシートやPDFから必要なデータを自動的に抽出し、分析を行います。特に会計監査や税務において高い効果を発揮します。
オランダ発のAIスタートアップで、Deloitte、KPMG、Ernst & Young、PwCなどの大手監査法人を含む世界125カ国以上で50万人以上のユーザーが利用しています。
2024年2月にはシリーズBの資金調達ラウンドで1億ドルを調達し、企業評価額が10億ドルに達しました。また、請求書や銀行取引明細書などの資料から情報を自動的に抽出・照合・検証することで、最大90%の単純作業を自動化しています。さらに、東京オフィスの開設や人材採用も進めています。
特徴としては、以下があります。
Parchaは、金融機関向けにKYC(Know Your Customer)およびKYB(Know Your Business)プロセスを自動化するAIプラットフォームです。
約3分でコンプライアンスチェックを完了し、顧客のオンボーディングを迅速化します。書類の検証やリスク評価を行い、カスタマイズ可能なワークフローでスケーラブルな業務効率化を実現します。
特徴としては、以下があります。
特定の業界に特化したHappyRobotやParchaのような垂直型エージェントから、ReductoやTrellisのような幅広い業界で利用可能な水平型エージェントまで、これらのAIエージェントはビジネスの在り方を大きく変えつつあります。
各分野での応用事例が増える中で、今後はさらに多くの業界がAIの恩恵を受けることが期待されます。社会や産業構造そのものを進化させる可能性を秘めたこれらのエージェントは、私たちの未来を切り拓く重要な鍵となるでしょう。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「業界を変革する7つのAIエージェント」(2025年1月15日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
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