山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
完全に横になって寝られる「寝台バス」が今春に登場する予定だ。従来、走行中のフルフラットシートは安全上の観点から禁止されていたが、2024年11月に国土交通省が安全指針を公表し、基準を満たす場合に運行できるようになった。さっそく、貸切観光バス事業などを展開する「高知駅前観光」(高知市)が3月に試験運行を開始する。
価格面で優位性のある夜行バスだが、座席では眠れないという理由から避ける消費者もいただろう。今後、フルフラットシートによってベッドのように眠れることで、寝台バスは交通手段の定番となるのだろうか。海外の事例を参考にしつつ、寝台バスの可能性を考えていく。
国交省が安全指針でフルフラットシートに求める主な要件は下記の4つだ。
(1)座席は前向きであること
(2)転落防止プレート及び衝撃吸収材を脚部分に設置すること
(3)転落防止措置及び、保護部材を座席の頭部及び側面方向に設けること
(4)2点式座席ベルトを備えること
(2)と(3)をまとめれば、寝ている乗客の周囲を衝撃吸収材や保護部材で囲う、ということ。2点式ベルトは胴体と垂直方向に巻く。資料によると、2点式より安全に思える3点式ベルトは、衝突時に頸部を圧迫する恐れがあり、2点式ベルトの方が安全だという。
現在、フルフラットに近しいシートのバスとしては、関東バスが大阪・奈良〜東京間で運行する「ドリームスリーパー東京・大阪奈良号」がある。「完全個室」の全11席にて運航しており、座席はリクライニングシートを採用している。しかし、完全に横になれるわけではない。
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