同店で提供されるのはコース料理のみで、価格は1万3200円から。しかし、赤坂で営業していた頃にはアラカルト料理や5000円台のコースも提供するなど、もう少し「居酒屋感」のある店だった時期もあったようだ。ハイクラス路線へ舵(かじ)を切ったきっかけとなったのが、2020年のコロナ禍だった。
2020年4月に始まった休業は半年に及び、再開したのは10月のこと。当初、同店ではキッチン・ホールを合わせて4人ほどの人数での営業を余儀なくされた。そのため、「その時に作れる料理と手間、食材廃棄の削減などを総合的に考え、“コースのみ”に絞りました」(金原氏)。
外国人旅行者が来られなくなった影響は大きく、赤坂の店舗でも「1日の来店数が2、3組」という日もあったという。しかし、前述のような「路線変更」が奏功したことや、根強いリピーターの存在が、窮地を救う形となった。
赤坂から大手町への移転は2023年12月のこと。オープン当時から入居していた赤坂不動産東急ビルの、老朽化に伴う解体を受けての選択だった。
コロナ禍で落ち込んだ客足が戻ってきた矢先の出来事だったが、金原氏は「われわれはこれをチャンスと捉えました」と話す。新天地への移転に伴い、ハイクラス路線をさらに「グレードアップ」させていく方向に踏み切ったのだ。
移転先に選んだのは、大手町・丸の内エリア。東京駅近くというアクセスの良さと、大企業が集まるビジネス街であることが決め手となった。周囲に「星付き」のホテルが多く、ハイクラスな外国人旅行者の集客が期待できる点もポイントだったという。
移転にあたっては、接待などのビジネス利用が増えることも想定し、旬の日本の食材を充実させるなどの調整を行った。「レストランとしての『品』を上げていこうということで、お値段も少し上げました」と金原氏は説明する。
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