イワタニといえば「カセットこんろ」や「暖房機」などを想像する人が多いだろうが、なぜ暖炉を開発したのか。きっかけは、担当者の幼少期の経験が大きく影響している。
企画を担当した本山孝祐さんは子どものころ、自宅の風呂はガスではなく、薪でお湯をわかしていた。たまに薪をくべることがあって、炎を眺めることも多かったそうだ。また、学生時代にはキャンプでたき火を楽しんだこともあって「炎のゆらぎを手軽に楽しめる暖炉をつくれば、多くの人にその魅力を伝えられるのではないか」と考え、開発がスタートした。
しかし、である。先ほど紹介したように、イワタニはカセットこんろの関連商品や暖房機などをたくさん扱っている。インテリアには無縁の世界で商売してきたので、社内からは「ん? 本当に売れるの?」といった意見があったそうだ。
もう1つ、疑問の声があった。ゆらぎを感じるためには、炎の色を赤にしなければいけない。つまり、不完全燃焼である。会社として、これまで「不完全燃焼にならないように」製品をつくってきたわけだが、暖炉はあえてその状態にしなければいけない。
念のために申し上げると、不完全燃焼とは燃料が酸素不足になって、正常に燃焼できなくなることを指す。不完全燃焼によって発生した一酸化炭素は強い毒性をもっているので、あえてその状態をつくり出すことに抵抗感があったのだ。
こうした懸念に対して、本山さんはどのような手を打ったのか。試作機をつくって、どこに問題があるのか。問題があれば、それをどうすれば解決できるのか。といったことを考え、まずは行動してみることから始めた。
例えば、一酸化炭素の問題について。暖炉の箱に空気の穴を設けることで、一酸化炭素の濃度が規定値を超えないことが分かってきた。もし規定値を超えた場合、安全装置が作動する仕組みを導入した。
あと、カセットガスを使うので「火は大丈夫なの?」といった指摘もあった。もちろん、この問題を無視できず、開発メンバーは何度も何度も安全を担保できる設計にした。炎は耐熱ガラスやパネルに囲まれているので、直接触れられないようにした。また暖炉が転倒しても、自動でガスを遮断して、消化する安全装置も搭載した。
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