「絶対王者」セブンをどう追いかけるか ファミマ、ローソンの独自戦略(2/3 ページ)

» 2025年03月01日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

メディア、衣類が特徴のファミマ

 ファミマ、ローソンともセブンを追随するだけではなく、もちろん独自の策にも取り組んでいる。ファミマが進めているのが、デジタルサイネージ「FamilyMartVision」だ。レジ上にディスプレイを設置し、リテールメディアとして店舗に来た人向けに放送している。

 2020年から展開し、2024年3月時点で約1万店舗に設置。音楽関連コンテンツやメーカー広告のほか、自社製品の販促広告なども放映している。従来のコンビニにはなかった取り組みだが、設置店舗を順調に拡大していることから、相応の効果を発揮しているとみられる。

 ちなみにセブンでは、2022年にデジタルサイネージの実証実験を開始した。ファミマの施策を模倣したと思われ、効果が大きければ本格的な展開に至るだろう。

 ファミマの商品面では、衣類を強化する動きがみられる。2021年3月に衣料品ブランド「コンビニエンスウェア」を発売。シャツや下着、靴下などの軽衣料を中心としたラインアップで、各店舗の入口付近に陳列している。2023年末にはスウェットやパーカーなど通常の衣類を投入したが、現在の実店舗を見てみると軽衣料が中心である。通常の衣類は苦戦したようだ。

「コンビニエンスウェア」が話題を呼んだ(出所:ファミリーマート公式Webサイト)

「まちかど厨房」「無印」が特徴のローソン

 ローソンの取り組みのうち、効率化重視と目されるセブンと一線を画すものが「まちかど厨房」だ。店内で調理した弁当やサンドイッチの販売コーナーであり、300円台のおにぎり、600〜700円台の弁当などを扱っている。ご飯も店舗で炊いており、工場配送の食品より高品質かつ高価格帯であるのが特徴だ。

まちかど厨房が強みのローソン(編集部撮影)

 まちかど厨房は2011年に展開を始め、2024年末時点で約9400店舗が導入。中食需要の高まったコロナ禍で大幅に拡大し、客層は40〜50代の男性が中心だという。昼及び夕方時間帯の利用が多い。外食が1食1000円時代に突入している昨今、ちょっと価格が高くても満足感が高いまちかど厨房は強みといえそうだ。

 非食品分野では「無印良品」商品の展開を進めている。2020年に実験販売を開始し、2022年5月から本格導入を始め、すでに1万店舗以上に導入済みだ。化粧水や文房具類の売れ行きが好調で、40〜50代女性の支持を受けている。

 ただし、無印とのタッグに関しては以前ファミマが取り組んでいたものの、2019年に終了した経緯がある。セブンが女性向け非食品を強化するような取り組みを行っていないことから、こうした取り組みは日販への影響度が小さいのかもしれない。

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