また、ターゲット設定も大胆に変更しました。これまでのミズノのメインターゲットであるスポーツユーザーではなく、日常で履ける快適なシューズを求めるビジネスパーソンやカジュアル層に向けたのです。履き心地に定評のあるミズノの技術を生かしながら、ブランドの強い主張をあえて抑えることで、「ミズノの靴を履いたことがない人」にも手に取ってもらえるよう設計しました。
大胆なデザイン変更がされた新モデルは応援購入サイトMakuakeで先行販売され、結果として2000万円以上を売り上げるヒットとなりました。さらに、一般販売に移行してからも人気を維持し、ECサイトでも売れ続けています。
「ミズノの靴を履いたことがない人」にも手に取ってもらいたいという狙いの通り、購入者の応援コメントの中には「ミズノを買うのは初めて」といった声がいくつも見られました。加えて、一般販売時の購買層についても、既存商品の主要顧客層とは異なり「ビジネスシーンでも履ける」「ミズノの靴は久しぶりに買ったが、履き心地がいい」といったコメントが相次ぎ、新たなターゲット層に届いたことが明らかになりました。
今回のミズノの挑戦は、ブランドの持つ技術力を生かしながら、デザインやターゲットを変えることで新たな市場を切りひらけることを証明したといえます。
重要なのは「何を変えて、何を残すか」という視点です。ミズノは機能性という最大の強みはそのままに、デザインという「見た目のハードル」を取り除くことで、これまでリーチできなかった層にアプローチしました。ブランドらしさにこだわるのも戦略ですが、時には引き算の発想が新たな成長の鍵となります。
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