そうなると、ディーラーとしては買う気がないユーザーも来店してもらうことで、自社製品の良さを知ってもらったり、好条件で購入できることを理解してもらったりして、買い替えの意欲を湧かせようとすることになる。
言うまでもなく、営業担当者は来店客への商談機会を得て、あわよくば契約を獲得しようとする。クルマを購入するつもり、あるいは購入するか迷っているような来店客であればそれでもいい。
けれども、買う気はないが、新型車に興味があって来店したくらいの軽い気持ちであれば、そうした接客はやや強引な印象を受けるものだ。乗ってきた愛車を査定し、商談に引きずり込まれ、無事に帰れたとしても後から電話攻勢を受けたりと、面倒なことが想像できるからだ。
その点、販売拠点ではないショールームとなれば、営業担当者が見積書を書くために擦り寄ってくることはない。「クルマをちょっと見たいだけ」という軽い気持ちでも抵抗なく訪れることができる。
それでも、新型車を見たりパンフレットをもらって眺めたりしているうちに、購入意欲が湧いてくる消費者も存在する。そんな来場者には自宅や職場近くのディーラーを紹介して、後日商談の機会を得るのだ。
しかし、自動車メーカーが「クルマを売らないショールーム」を運営するメリットは、そんな目先の売り上げにあるのではない。
なぜ「ジムニーノマド」の注文が止まらないのか 変わりゆくクルマ選びの基準
スポーツカーはいつまで作り続けられるのか マツダ・ロードスターに見る作り手の矜持
マツダの「MX-30 ロータリーEV」 現時点で“EVの最適解”と言えるワケ
次に売れるクルマは何か? どん底の日産が復活するための道筋
「昔ながらの名車風」なぜ人気? 自動車メーカーが“過去の遺産”を利用する理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング