社会人歴5年以上となる中堅社員の役割は多岐にわたる。自走しながら、結果を残していくことが期待される存在であり、時にはプロジェクトやチームのリーダーとしてリーダーシップを発揮し、上司と若手社員の橋渡し役としてコミュニケーションの円滑化を担うこともある。
そんな企業基盤となっている中堅社員の役割として外せないのが「後輩指導(OJT)」だが、モチベーション高く後輩の指導に望めている社員は4割程度だった。どういった点で苦労しているのか、組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(東京都千代田区)が実施した調査を見ていこう。
後輩の指導をしている、社会人5年目以上の役職に就いていない中堅社員(35.5%)に後輩指導のモチベーションについて尋ねたところ、モチベーションが最も高い評価「5」の回答割合は7.7%、やや高い評価「4」の回答割合は36.3%となった。
最も多かったのは「3」(38.7%)で、「2」(12.3%)、「1」(4.9%)という回答も見られた。後輩指導に関わる全ての中堅社員が意欲的に取り組んでいるわけではないことが明らかになった。
では、後輩指導においてどのような苦労があるのか。
最も苦労している項目として挙げられたのは「後輩の力量に応じた業務を与えること」(33.1%)だった。2位の回答と10ポイント以上の差をつけた。以降「後輩の成果につながるように、サポートすること」(22.9%)、「後輩と良好なコミュニケーション(質)を担保すること」(22.2%)と続いた。
後輩指導におけるモチベーションと苦労の関係性も調査した。後輩指導のモチベーションを「4」「5」と回答した群と、「1」「2」と回答した群で比較したところ、前者の苦労としては「後輩の力量に応じた業務を与えること」(35.8%)、「後輩とコミュニケーションの量を担保すること」「後輩と良好なコミュニケーション(質)を担保すること」(同率29.6%)などが挙げられた。
後者も最も多かったのは「後輩の力量に応じた業務を与えること」(30.6%)だったが、以降は「改善点を次に生かしてもらうこと」(26.5%)、「後輩にモチベーションを高めてもらうこと」(22.4%)と続いた。
その他、前者は後者に比べて「育成のゴールを設定し計画を立てること」が21.2ポイント、「後輩と良好なコミュニケーション(質)を担保すること」が19.4ポイント高かった。一方、後者は前者に比べて、「改善点を次に生かしてもらうこと」が20.1ポイント高い結果となった。
ALL DIFFERENTは調査を踏まえ、「OJT担当や先輩社員など“教える人”についての育成計画や、組織としての育成への取り組みを十分に検討する必要がある」と指摘。
その上で、育成担当者のサポートとしては「教えるスキルの獲得」「育成業務の意義の理解」「育成担当者同士の連携」を、組織全体での育成サポートとしては「複数の育成担当者の設定」「育成計画や進捗を関係者に共有する場の設定」を挙げた。
調査は、社会人5〜11年目以上の管理職未満の就労者を対象にインターネットで実施した。有効回答数は800人(社会人5年目107人、同6年目105人、同7年目104人、同8年目105人、同9年目103人、同10年目105人、同11年目以上171人)で、期間は2024年12月24〜25日。
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