近年、精神障害による労災認定は増加傾向にあり、ストレスチェック制度はその状況を把握し、改善につなげるための重要な取り組みとなっている。
厚生労働省は従業員50人未満の企業にもストレスチェックを義務付ける方針を決め、数年後の導入に向けて動いている。では、中小企業におけるストレスチェック体制はどうなっているのか。NSSスマートコンサルティング(東京都新宿区)が調査を実施した。
調査では、75.9%が「実施したことがない」と回答した。「実施している」(「定期的に実施している」「不定期に実施している」の合算)は18.3%にとどまった。ストレスチェックを実施している企業における実施頻度は「年に1回」(59.8%)が半数以上を占めた。
ストレスチェックの結果の活用方法を尋ねたところ、「個人へのフィードバック」(44.6%)と回答した人が最も多く、以降は「職場環境の改善」(29.4%)、「メンタルヘルス対策の立案」(23.9%)と続いた。
個人へのフィードバックが主な活用方法となっているが、職場環境の改善やメンタルヘルス対策の立案といった組織全体の改善にも活用していることが明らかになった。
会社にストレスやパワハラについての相談窓口があるか尋ねたところ、78.0%が「ない」と回答した。相談窓口が設置されている会社は約1割にとどまり、多くの企業で従業員が気軽に相談できる窓口が設置されていないことが分かった。
相談窓口がある会社に勤めている人でも実際に利用したことがあるのは31.6%(「一度利用したことがある」「複数回利用したことがある」の合算)のみで、68.4%が「利用したことがない」と回答した。
さらに「現在の会社でのストレスが原因で転職を考えたことがあるか」という質問に対しては、63.4%が「ある」(「よくある」「たまにある」の合算)と回答した。
ストレスと転職の関連性についても調査した。ストレスが原因で転職を検討したことがある人は6割以上(「よくある」「たまにある」の合算)に上った。
なぜ会社に相談せずに転職活動を始めるのか? 最も多かった理由としては「相談しても適切に対応してくれない可能性がある」(46.0%)だった。以降「相談後に仕事がやりづらくなりそうだから」(34.3%)、「職場での立場が悪化しそうで不安」(31.1%)と続いた。
どのような改善があれば転職を考え直すのか。50.2%が「給与・待遇の改善」と回答した。2位は「安全で健康的な職場環境の整備」(23.6%)、3位は「業務量の適正化」(22.8%)となった。
NSSスマートコンサルティングは調査を踏まえ、「従業員のストレス軽減や満足度、離職率を改善するには、ストレスチェックを効果的に活用し、従業員の声を組織改善に反映させることや相談窓口の充実と信頼性の向上を図ることが必要なのではないか」とコメントした。
調査は、従業員50人未満の企業の従業員を対象にインターネットで実施した。有効回答数は1005人、期間は3月1〜2日。
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