その結果、売り上げが急増。「ポストユニクロ」の筆頭格とみなされるようになった。2018年3月期に約560億円だった売上高は、2024年3月期に約1326億円にまで成長している。成熟市場と呼ばれるアパレルにおいて極めて例外的な急成長であり、いかに多くの人がワークマン製品の新規顧客、リピーターになっていったかがうかがえる数字だ。
ワークマンがタウンウェアに進出した2018年頃は、2020年に開催予定だった東京オリンピックに向けて、官民がスポーツにとどまらない健康増進を盛り上げる機運を醸成していた。とはいえ、本格的に釣りや登山、ジョギングなどを始めようとしても、用具代は意外とかかる。
そうしたときに、ワークマンが有する機能性の高いウェアが受け皿となったわけだ。若い職人向けにデザインを含めてファッション性を高めてきたこともあって、ニーズをうまくすくいとった。コロナ禍で東京オリンピックは1年延期となったが「密」を避ける意味でもアウトドアブームは続き、ワークマンの売り上げも毎月のように2ケタ増と、絶好調だった。
とはいえ、近年はコロナ禍による規制や自粛の要請も緩和。アウトドアブームも下火になってきた。他社では、キャンプ用品に力を入れてきたスノーピークが2023年12月期決算で売上高が16.4%減となったばかりか、当期純利益が99.9%減という衝撃の結果となった。スノーピークはMBOによって上場廃止となり、再建の道を歩んでいる最中だ。
ワークマンの場合、スノーピークのようなアウトドアに特化した企業ではないが、やはり売り上げが伸び悩み、成長の限界がささやかれるようになった。既存店売上高は、2020年が125.7%、21年が114.2%だったのものの、その後は伸び悩んで2024年3月期は98.6%とついに前年を割ってしまった。
今期は第3四半期までの既存店売上高が101.5%と回復している。しかし、2025年に入って1月が98.8%、2月が96.5%と、2カ月連続で前年を割れている苦しい状況には変わりない。果たして、ワークマンの反転攻勢は可能なのか。
全身ワークマンの「1万円未満」コーデ! 「Workman Colors」の快適普段着は、ユニクロに勝てるか
「他社が逆立ちしてもマネできない価格にした」――ワークマン専務、1500円「万能パンツ」に自信Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング