変革の財務経理

AIエージェントで、経理はどれだけラクになる? マネーフォワード新サービスの構想

» 2025年04月03日 15時30分 公開
[小林可奈ITmedia]

 「No.1のバックオフィスのAIカンパニーになっていきたい。ほぼ全リソースを振り向けていこうと思っている」

 4月2日にマネーフォワードが都内で開いたAI戦略説明会で、辻庸介CEOはこう意気込んだ。2025年内には経費、会計、HR領域のAIエージェントを順次リリース予定だ。一体どのような製品なのか。SaaSとAIを組み合わせることで、中小企業の経理や人事の業務をどう変えるのか? 

経理や人事の仕事はどう変わる? AIエージェントの可能性

 「経費AI Agent」は、カードの利用を自律的に判断し、経費申請について提案する。具体的には、同社が提供する「マネーフォワード ビジネスカード」を従業員が利用すると、AIエージェントが自ら申請に必要な情報を収集して作成し「この内容で経費精算しますか?」とアクションを提示する。内容を確認して領収書を添付すれば、申請が完了する。従業員が月末に溜めてしまいがちな経費申請のハードルを下げる。

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 一方、経理部門の業務をラクにすることが想定されるのは「会計AI Agent」だ。

 例えば、月末から月初にかけて「従業員が経費申請をしてこない」「勤怠を出さない」「請求書を送ってこない」といった理由でデータがそろわず、決算を締められないケース。AIエージェントが未承認の経費申請リストを作成し「未承認者にリマインドを送りますか?」と、文面と合わせて提案する。

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 前月との差異が大きい部分への色付けや、想定される差異の分析についてのコメントもする。「旅費や交通費についても、未承認分を含めダウンロードして」など、経理がリクエストをすれば、さらなる深掘りも可能だ。

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 「HR AI Agent」は、人的資本開示のためのデータ収集や分析を効率化する。「部門別、職種別の育休取得率を教えて」と依頼すると、AIエージェントがデータマートを検索して回答する。

「AIエージェントプラットフォーム」も提供予定

 「マネーフォワード クラウド」の各領域で活用可能なAIエージェントのラインアップを拡大する一方、外部サービスのエージェントも併用できる環境を構築する。具体的には「AIエージェントプラットフォーム」を提供し、同社の他、外部パートナーが開発したAIエージェントをインストール可能にする。ユーザーが最適な組み合わせで活用できる環境を目指す。

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 「AIエージェントで、UXは大きく変化する。ただ、裏のロジックやデータはそれほど変わらず、より重要になってくると考えている。バックオフィスのプロダクトラインアップを生かして、専門性の高いAIエージェントを作っていきたい」(辻CEO)

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