2024年度の後継者不在を要因とする「後継者難」倒産が454件に上ったことが、東京商工リサーチの調査で明らかとなった。なぜ、後継者難倒産が相次いでいるのか?
2024年度の「後継者難」倒産は、454件(前年度比0.8%減)だった。最多となった2023年度の458件に次ぐ、過去2番目の高水準となった。
要因別に見ると、代表者などの「死亡」が過去最多となる251件(前年度比14.6%増)、「体調不良」が149件(同6.8%減)となった。両要因を合わせると400件(同5.5%増)となり、全体の88.1%を占める結果に。経営者の高齢化が進む中で、代表者の健康状態は大きな経営リスクとして浮上していると考えられる。
産業別に見ると、10産業のうち増加となったのは、「製造業」「卸売業」「運輸業」「情報通信業」の4産業だった。最も多かったのは「建設業」で106件(前年度比で変化なし)。以降は「サービス業他」が92件(同23.9%減)、「卸売業」が79件(同17.9%増)で続いた。
資本金別では「1000万円未満」が272件(前年度比0.3%増)となり、全体の59.9%を占めた。形態別で見ると「破産」が428件(前年度比2.1%増)となり、7年連続で前年度を上回った。また、構成比は過去最高となる94.2%(前年度91.4%)に上った。
小・零細企業においては、代表者が高齢である場合、従業員の年齢層も高くなる傾向がある。そのため、事業承継や後継者育成にまで手が回らず、代表者に不測の事態が生じた際には、事業継続に支障を来す可能性が高いとみられる。代表者への依存体質からの脱却が急務であるという現状が、改めて浮き彫りとなった。
東京商工リサーチは「政府は『円滑な廃業』を打ち出し、金融機関やファンドによる第三者承継の支援も動き出している。しかし、物価や人件費などのコストアップで、過剰債務の解消が遅れている企業も多く、突然の代表者不在が一因の倒産は今後も高止まりが続くと考えられる」とコメントしている。
調査は2024年度(2024年4月〜2025年3月)の「人手不足」関連倒産(負債1000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち、「後継者難」を抽出し、分析した。
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