少子化なのになぜ? ヒューリックが駅チカ立地に「こどもでぱーと」を開発し始めた理由(1/5 ページ)

» 2025年04月28日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。


 「こどもでぱーと」なる施設が、東京にオープンするらしい――2024年末にそんな話を聞きました。こどもでぱーと、という名前に筆者はとても興味を持ちました。子どもに特化した施設なのだということは分かりますが、「でぱーと」とはどういうことなのでしょう。それに少子化時代の今、なぜ子どもに狙いを定めるのでしょうか。企画開発したのが不動産会社のヒューリックであると聞いて、さらに不思議に感じました。

 果たして、こどもでぱーとの狙いは何でしょうか。不動産業界の大手企業・ヒューリックがなぜ子ども向け事業に参入するのでしょうか。流通小売り・サービス業のコンサルティング約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。

こどもでぱーととはどんな施設なのか?(筆者撮影)

モノは売らない 子ども向けのサービスをが集まった一大拠点

 2025年4月1日、一風変わった“デパート”が東京・中野にオープンしました。

 その名も「こどもでぱーと 中野」。子ども向けのデパートなのですが、その特徴はモノを販売する百貨店でないこと。子ども向けの教育・サービスを1カ所に集めた、ワンストップ型のサービス拠点なのです。子ども向けのさまざまな教育サービスを総合的にそろえたという意味で、デパートというネーミングは非常に分かりやすいと感じました。ちなみに同日、「こどもでぱーと たまぷらーざ」もオープンしています。

 施設を開発したのは、ヒューリックです。「不動産会社がなぜ?」という感じですが、実は、4年ほど前からコンセプトをあたためていたとのこと。同社の大久保立樹氏(新事業創造部 こども教育事業室 参事役)は「新規事業として子ども関係の施設開発をしようと取り組んできたプロジェクト」と話します。

 同社では東京を中心に幼児教育や個別指導塾などを展開するリソー教育という会社をグループ化しています。コナミスポーツとも連携し、3社を中心に展開する共同プロジェクトが、このこどもでぱーとです。

出所:ヒューリック決算資料
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