この記事は『利益を出すために重要な24の数式』(野本明著、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
営業利益とは「本業の稼ぐ力」と表現されるように、日々のさまざまな施策の最終目的としての数値です。
営業利益は、売り上げから経費を引いた残りというのが最も簡単な考え方です。この場合売り上げが一定で営業利益を増やすには諸経費の削減しかないように見えます。そこから一歩進めて経費を商品原価とその他経費に分けます。すると営業利益は粗利益から諸経費を引いたものになります。
こうなると、売り上げが一定でも営業利益を増やすには粗利益を増やせばいい、という選択肢が見えてきます。粗利益の拡大こそが利益を最大化するために最も重要なポイントなのです。
最初に高い粗利益を生み出すのは高いマークアップ、すなわちプレミアムプライスを実現できるブランド力です。ここでブランドがマーケティングの最初の段階で必要になり最後に利益に貢献するということが明らかになります。さらにブランドの力によって値引・割引なしで販売できることで高い粗利益を実現できるのです。
しかし、粗利益がいくらかというのをリアルタイムで確認するのは難しく、知らないうちに粗利益の低下が起きてしまう可能性は否定できません。粗利益を阻害するものは、販売時に認識しやすい値引・割引だけでなく、在庫処分損のように見えないところで発生するものもあります。
この3つの敵からせっかくの粗利益を守ってくれる仕組み、粗利益の番人が必要です。それができることに気付かせてくれたのは、米国のブランド企業での経験です。ここでは商品部門にプランナーという職種があり独特な方法を使って収益管理をしていました。
それまで商品部門は売り上げだけを追うものと思っていましたが、この管理手法を使い、売り上げと同時に在庫と粗利益も目標として一元管理していたのです。そして商品部門の最終目標としては粗利益からさらに在庫処分損を引いた部門利益(Merchant Margin)を追い求めていたのです。
まさにこれが粗利益の番人としての仕組みです。
以上が私の35年以上にわたる経験から抽出した、利益を最大化するための3つの極意です。これを土台にして、これから説明(※)する24の数式でチェックポイントをクリアしていくことで最小の時間と労力で利益を最大化できると確信しています。
※5月11日以降の記事で一部を紹介します。
ただしこれは必ずしも短期的に損益を急回復させる、といった魔法の施策ではありません。しかし経営方針やマーケット状況が変わっても極意や数字の妥当性は変わりません。仕組みとして継続的な利益を出し続けられること、それこそがゴールなのです。
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