職場で起こりがちなケースを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。
Q: 部下のPC画面を見たところ、業務中に他社の求人情報を閲覧していました。これを注意することはできますか? また、繰り返し行っていた場合、懲戒処分の対象になりますか?
慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。
A: 部下が勤務時間中に業務と無関係な私的行為をしていた場合は、当然注意できます。
従業員は、労働契約に基づき「職務専念義務」を負っています。「職務専念義務」とは、就業時間中、使用者の指揮命令下で職務に専念する義務です。従業員は、就業時間中は会社の業務に集中する必要があり、それ以外の私的な活動をすることは原則許されません。
他社の求人情報を閲覧する行為は、業務と関係のない私的な行為と考えられるため、上司は部下に対して閲覧をやめるよう注意する必要があります。これに対して部下が「ちょっとのぞいていただけです。任された業務はこなしているので問題ないのでは?」と答えたとしましょう。この場合も、上司は毅然(きぜん)と求人情報の閲覧をやめるよう求めることができます。
判例上、「職務専念義務」は、職務上の注意力の全てをその職務遂行のために用い、職務にのみ従事しなければならないことを意味すると考えられています。そのため、現実に職務の遂行が阻害されるなどの実害が生じていなくても、義務違反と判断される可能性があります。
何度注意しても、勤務時間中の求職活動をやめない場合は、懲戒処分の対象となる可能性もあります。
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