なお、勤務中に職場のPCを用いて、いわゆる出会い系サイトで私用メールを大量にやりとりしていた事案では、懲戒解雇が相当(有効)と判断されています(福岡高裁2005年9月14日判決)。軽い懲戒処分を科しても効果がなければ、減給や出勤停止といったより重い懲戒処分にすることも考えられるでしょう。
さらに、懲戒処分をするには適正な手続きを踏むことが求められます。就業規則などで手続きが定められている場合には、その手続きを踏むこと、定められていない場合でも、少なくとも懲戒処分の理由を説明し、従業員に弁明の機会を与えることは必要です。
会社によっては、従業員が在職中に転職活動を行ったことだけを理由に、懲戒処分にすることはできません。しかし、従業員にも「職業選択の自由」があるため、勤務時間外に、会社の備品を使用することなく転職活動をすることは自由であり、在職中の転職活動を理由に懲戒処分にすることはできません。
退職してから次の仕事を探すとなると、経済的に不安定となるため大変であり、従業員にとっては在職中に転職活動をするメリットがあります。在職中に転職活動をするとなると、どうしても平日の勤務時間に面接などが入ることも考えられますが、従業員は有給休暇をとり、転職活動を行うことが可能です。
有給休暇の取得に際し、従業員は理由を告げることも告げないこともできます。仮に、「転職活動のために取得したい」と従業員から告げられた場合も、有給休暇の取得は労働者の権利として認められているため、会社は原則として、従業員の希望する日時に有給を与えなければなりません。その日に休まれると事業の運営上支障がある場合のみ、他の日時に取得してもらうことができます。
有給の取得を含め、労働者にはさまざまな権利が認められていますが、そうした権利を制約するような言動は、たとえ、丁寧な言い方であったとしても、直接の命令ではなかったとしても、違法性が認められる可能性があるので注意しましょう。
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