職場におけるAIツールの活用に積極的なZ世代は。彼・彼女らの半数以上がChatGPTを「同僚」あるいは「友人」と見なしている――そんな調査結果が、5月21日に履歴書作成サービスを提供する米Resume.orgが発表した報告書で明らかになった。同調査では、Z世代の労働者のほぼ半数が、「上司に質問するよりもChatGPTに聞く方を好む」と回答している。
「Z世代が社会人になった時点で、ChatGPTのようなAIツールはすでに一般化していました」とResume.orgのキャリアコーチであるイリーナ・ピチュラ氏は述べる。「彼らはAIを脅威ではなく、生産性を高め、リアルタイムでサポートしてくれるツールとして受け入れています」(ピチュラ氏)
同調査は、米国内でフルタイム勤務する労働者8600人以上を対象に実施し、全体の11%が「ChatGPTを定期的に利用している」と回答。Z世代に限定すると、利用率は21%に上昇する。
ChatGPTを使用している回答者の80%以上が「仕事関連の業務」で利用しており、66%は「アイデア出しや思考整理のため」に使用しているという。さらに「雑談」(37%)、「ゲーム」(24%)、「暇なときに忙しく見せるためのツール」(14%)など、業務以外の用途でも使われていることが分かった。Z世代ユーザーの約5人に1人は「勤務時間中に1時間以上ChatGPTとチャットやゲームをしている」と答えている。
ChatGPTとの個人的なやりとりでは、「同僚との人間関係の悩み」「メンタルヘルス」「私生活での人間関係」など、難しい意思決定に関する相談も行われている。Z世代ユーザーの86%はChatGPTを「役立つ業務ツール」と見なしているが、他の世代と比べて「娯楽の一種」(36%)、「話し相手」(32%)、「セラピスト(相談相手)」(21%)と捉える傾向が強い。
「Z世代は、生まれたときからインターネット経由で即時に情報を得られる環境に慣れています。だからこそ、上司に聞く前にAIに頼るのは自然なことです」とピチュラ氏は説明する。「ChatGPTは、迅速でジャッジのない回答を提供してくれます。そのため、特にリモートワークや高ストレスな環境下では、上司よりも“話しかけやすい”と感じられるのです」(ピチュラ氏)
職場におけるストレスや孤立感の増大が問題視される中で、「職場の友人関係が燃え尽き症候群の対抗策になる可能性がある」と英KPMGのリーダーは指摘する。KPMGによれば、プロジェクトのマイルストーン達成時の祝賀会や社交イベント、業務外活動などを通じて、従業員同士のつながりを促すことが推奨される。また、AIツールはコーチングやメンタリングの時間を確保する手段としても活用できるという。
一方で、求人情報検索サイトを運営する米Glassdoorの調査によると、労働者の間では「職場で友人を作る意欲」が低下している傾向もある。これは、リモートワークの普及や離職率の上昇、レイオフの影響などが原因とされている。
さらに、企業倫理とコンプライアンスに関するソリューションを提供する米LRN社の報告書によれば、Z世代の従業員は「仕事を遂行するためなら規則を柔軟に解釈する」傾向が他の世代よりも強いという。世代間で倫理観やコンプライアンス意識に差が生まれており、特にAI活用を巡って、複数世代が共存する職場では特有の課題が生じる可能性がある。
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