では、「静かな退職」を続けるとどうなるか。3つのシナリオを描いてみよう。
「静かな退職」を続けて5年。ようやく転職を考えて履歴書に何かを書こうとしても、書くことがないだろう。面接で「この期間は何をしていたか」と聞かれても、具体的な成果を語れない。同世代が着実にスキルを積み上げている中、ようやく自分が取り返しのつかないことをしてきたと思い知る。もちろん転職市場での評価は低く、条件の良い会社への転職は困難だ。
まだ自分の意思で転職を選べるうちはいい。所属部署でAI導入が進み、会社が人員削減を決定。真っ先にリストラ候補に挙げられたら、どうか。まだ20代なのにリストラ対象になったら、自分の履歴に大きな傷がつくことだろう。
深刻なのは、長年の「静かな退職」で学習習慣がなくなってしまっていることだ。そもそもの脳の基礎能力も低下していたら、どんなに若くても容易にスキルアップできないまでになり果てているだろう。
リストラされた後、転職活動を始めても、すでに市場価値はかなり落ちている。どの企業の書類選考も通過できないだろう。たとえ面接までありつけたとしても、「なぜ成長しなかったのか」と厳しく問われるに違いない。
結局、非正規雇用や単純労働しか選択肢がない。収入は激減する。将来への不安から精神的にも追い詰められる。かつての同僚たちは、AIを活用しながら高度な仕事をこなしている。その差は埋められない。
これらのシナリオは決して大げさではない。現にマイクロソフトのような大企業でさえ、AIに置換可能な人材を容赦なくカットしている。日産自動車は2万人、パナソニックは1万人の削減を発表。過去と違い、企業は黒字でも「攻めのリストラ」をする時代だ。「最低限の仕事しかしない」と主張した人材をサポートする余裕はない。
AI時代において「静かな退職」は、自らの首を絞める行為だ。私はそう信じている。最低限の仕事しかしない人材は、真っ先にAIに置き換えられるだろう。
もし今の職場で力を発揮できないなら、速やかに新天地を求めるべきだ。「静かな退職」という逃げの姿勢ではなく、自分が活躍できる環境を積極的に探せばいい。
時代は急速に変化している。「静かな退職」という選択はやめて、もっと自分の「強み」を発揮できる場所を探そう。行動を起こすべきである。そうしないと、最悪のシナリオが現実のものとなってしまう。
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