京都大iPS細胞研究財団は20日、自分自身の細胞(自家細胞)から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成し、治療に生かすことを目指す「Yanai my iPS製作所」の開所会見を大阪市内で開催した。iPS細胞の生みの親で財団の山中伸弥理事長は「健康寿命の延伸に貢献したい。良心的な価格で提供できる準備を進める」と意気込みを語った。
製作所は、再生医療の研究開発施設や医療機関が集積する未来医療国際拠点「中之島クロス」(大阪市北区)に入居。開設・運営にはカジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が個人資産で令和3年度から9年間にわたり計45億円を寄付する。
会見に同席した柳井氏は「画期的な医療改革でわくわくしている。もっと企業や個人からの寄付がなければ、行政からの資金だけではこれからの研究開発はまわらない」と訴えた。
製作所では、血液から採取した自家細胞でiPS細胞を製造し、再生医療の治療薬として実用化を進める「my iPSプロジェクト」を推進。他人の細胞によるiPS細胞に比べ移植後の免疫拒絶反応が抑えられる。
財団によると、製造はこれまで技術者が手作業で行い、患者1人あたり5千万円の費用と、半年間の期間を要した。製作所では細胞培養装置14台を導入し工程を自動化。目標として年間1千人分に対応し、費用を100万円、期間を3週間に抑えるという。
5月29日に国から臨床研究用の細胞製造施設として許可を取得した。すでに大学や企業から10件程度の製造依頼に関する相談を受けているといい、10年度中にも提供先で臨床試験を始める。(山本考志)
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