従業員の生成AI利用率90%超のリアル! いちばんやさしい生成AIのはじめかた
【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)
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【概要】ディップでは、小さく生成AI導入を開始。今では全従業員のうち、月間90%超が利用する月もあるほどに浸透、新たに「AIエージェント」事業も立ち上げました。自社の実体験をもとに、“しくじりポイント”も交えながら「生成AIのいちばんやさしいはじめ方」を紹介します。
「各国が独自の人工知能(AI)を開発・保有するべきだ」――。
これは「ソブリンAI」と呼ばれる理念で、画像処理装置(GPU)世界大手の米NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が2023年から提唱している。欧州で今、同理念に熱いまなざしが注がれている。
欧州はAIの利用を米国の一握りのハイテク企業に依存しているためだ。フランスや英政府などはこうした状況から脱却を図る一環として、ソブリンAIの理念に耳を傾けており、行動に移し始めた状況だ。
また、欧州連合(EU)や英国は厳しいデジタル法制がトランプ氏の激しい反発を招いたという経緯もあり、ソブリンAI推進の姿勢を強めている。
同理念は、言語や知識、歴史、文化が地域ごとに異なるという考え方に基づいている。ただ、先端AIにはNVIDIAのGPUを搭載した機器が用いられるだけに、欧州が独自のAI開発を急ぐことにより、NVIDIAには自社の商機が広がるメリットもある。
フアンCEOは、ロンドンやパリ、ベルリンを相次いで訪問し、多数のプロジェクトや提携関係を発表するとともに、欧州のAIインフラの不足の強調に余念がなかった。
「当社はここ(欧州)に数十億ドル規模で投資する方針だが、欧州に必要なのはAIへの迅速な取り組みだ」と言い切った。
英国のスターマー首相は6月9日、世界で起きているのは「AIの開発サイドに回り、利用者にとどまらない」という競争だと指摘。英政府は対応策としてコンピューターの処理能力の強化向けに10億ポンド(13億5000万ドル)の財政措置を行うと発表した。
フランスのマクロン大統領は、世界最大級の最先端技術イベント「ビバテクノロジー」でAIインフラの構築を「主権のための戦い」と呼んだ。
NVIDIAがドイツテレコムと共同でドイツにAIクラウドプラットフォームを構築する計画を発表したことを受け、ドイツのメルツ首相は、欧州最大の経済大国ドイツのデジタル主権と将来の経済にとって「重要な一歩」と指摘した。
ただ、欧州のAI開発は米国と中国に大きく遅れをとっている。
しかも欧州で使われるクラウドインフラの多くは米Microsoft(マイクロソフト)やAmazon.com(アマゾン・ドット・コム)、Alphabet(アルファベット)傘下のGoogle(グーグル)が管理、運営している。そうした米大手ハイテクと競争する欧州企業はフランスの新興「Mistral AI」(ミストラルAI)などごく一部の小規模企業ばかりだ。
しかし、Mistral AIのアーサー・メンシュCEOは「ビバテクノロジー」でフアンCEOの隣席で、「最先端技術の覇者が欧州にいてはならないという理由はない。(欧州での自前のAIインフラ構築は)壮大な夢だ」と述べた。
フランスでは、Mistral AIがNVIDIAと提携し、欧州企業のAI需要に応える欧州自前のデータセンターを建設する。第一段階ではNVIDIAの最新のAI半導体を1万8000個使い、2026年には拠点を複数に拡張する計画だ。
EUは2025年2月、米企業依存を減らすため、200億ドルを投じて域内4カ所に「AIギガファクトリー」を建設する計画を発表済みだ。
こうしたソブリンAI推進の動きは、欧州で最先端技術の勢力図を再編する可能性がある。欧州のクラウドサービス事業者やAI新興企業、半導体メーカーは新たな政府の財政支援や域内でのデータインフラへの移行によって恩恵を受けそうだ。
自社製AI半導体の需要を着実に取り込みたいNVIDIAにとっては好都合だ。欧州各国がAIでの自立を図る際は依然としてNVIDIAの技術に頼るためだ。
ただ、取り組みに課題がないわけではない。
電力コストの上昇と需要の急増によって、データセンター向けの電力調達は支障が生じる恐れがある。データセンターはEUの電力需要の3%を占めるが、AI普及によって、今後10年間で消費電力は急速に膨らむと予想されている。
また、巨額資金の工面でも欧州は依然不利な状況にある。Mistral AIは10億ドル強を調達した。これを梃子(てこ)に欧州でAI開発のけん引役になる構えだが、その程度の規模の金額は米巨大データセンター(ハイパースケール・データセンター)の事業者が毎月費やす資金のわずか一部に過ぎない。
ITコンサルティングなどを手がけるフランスのCapgemini(キャップジェミニ)のパスカル・ブリエ最高イノベーション責任者(CINO)は「ハイパースケール・データセンターの事業者は自社のインフラ(管理・運用)に四半期当たり100億〜150億ドルを費やしている。欧州でそれほどの資金を出せる企業はあるのだろうか」と疑念を投げかけた。
その上で「何もするべきではないという意味でないが、常にギャップが存在するという事実を認識しておく必要はある」と話した。

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