昨年末以降、詐欺などの新種の攻撃メールが全世界で激増し、今年5月に確認されたメールの約8割は日本を標的にしたものだったことが、民間セキュリティー会社の調査で分かった。メールには、中国語のツールが用いられていたことも判明。AI技術で日本語の文章を容易に作れるようになったことが要因の一つと考えられ、認証情報を盗む「フィッシング」の手口を用いて、相次ぐ証券口座の乗っ取りに悪用された可能性もある。
世界で流通するメールの約4分の1を分析しているとされる米セキュリティー会社「プルーフポイント」によると、メール攻撃は2024年12月ごろから激増。同年11月まではおおむね毎月1億通前後で推移していたが、今年5月は過去最多の約7億7千万通で、前年同期の7倍だった。
詳細を分析できたもののうち、日本を標的にしたメールは一昨年が4%、昨年は21%だったが、今年5月は81%を占めた。同社日本法人の増田幸美氏は、「世界のメール攻撃の大部分は日本を狙ったものになっている」と指摘する。
背景として、「生成AIで滑らかな日本語の文章を作れるようになり、『言語の壁』がなくなったことが挙げられる」と増田氏。これまでは不自然な日本語で見破ることができた一方、言語の壁に守られてきた日本はセキュリティー対策が遅れていたとして、「IT知識のない人も含め、多くの人がインターネットを利用して金融資産を扱う中で、日本人は攻撃の投資対効果が高くなっている」と話す。
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