長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
4月13日に開幕し、10月13日まで開催中の大阪・関西万博(以下、大阪万博)。目標に掲げた会期中の入場者数、2820万人に達するかどうかがよく論議されている。しかし万博はどれだけ多くの入場者が集まるかや、大衆的な人気のみで価値が決まるわけではない。
例えば、1970年の大阪万博では多くのビジネスが生まれたことがレガシーになっている。その一つが回転寿司だ。会場内に登場した店舗が大人気となり、今日の回転寿司の隆盛につながった。つまり万博は新しい産業、商品が生まれる「ビジネス創造」の場でもあるのだ。
回転寿司のほか、1970年の大阪万博をきっかけに日本中のほとんどが知っている「超有名商品」も生まれている。「明治ブルガリアヨーグルト」だ。
同商品の誕生は、明治の研究員がヨーグルトの本場・ブルガリアのパビリオンを訪れ、プレーンヨーグルトを試食をしたのがきっかけだ。「これが本場のヨーグルトか」と感銘を受け、プレーンヨーグルトのサンプルを持ち帰り、研究所で乳酸菌を培養してヨーグルトの再現を試みた。
もちろん、それまで日本にヨーグルトがなかったわけではない。第二次世界大戦の終戦後にヨーグルトの生産が本格化し、ゼラチンや寒天で固めた、ハードタイプの甘いヨーグルトはすでに親しまれていた。しかし、その先行していたハードタイプのヨーグルトは昨今市場で見かける機会が少なくなった。反対に、明治ブルガリアヨーグルトのような酸味が強い、乳製品らしい香りを持つプレーンヨーグルトが主流となっている。
日本人のヨーグルト観を覆し、商品の革命を起こした明治ブルガリアヨーグルトの成功はいかにしてもたらされたのだろうか。加えて、今日までの明治とブルガリアの交流についても見ていこう。
「ブルガリアヨーグルト」約10年ぶりの新製法 口の中でより崩れやすく
アイリスオーヤマの「ヨーグルトメーカー」好調 使ったら分かることCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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