「牛丼」「うどん」に続け 吉野家、二度目の「ラーメンチャレンジ」は成功するか（1/3 ページ）

[山口伸，ITmedia]

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。　X：@shin_yamaguchi_

　吉野家ホールディングス（HD）がラーメン事業を強化している。近年、関連企業の子会社化や買収で店舗数を拡大し、製麺業者も買収して製造体制も整えていた。2024年度末時点ではラーメン事業だけで17ブランドを展開している。同社はラーメン事業を牛丼とうどんに次ぐ第3の事業ドメインと位置付けており、今後も事業規模を拡大する方針だ。吉野家が近年に取得したラーメン店の特徴を見ていこう。

吉野家HDがラーメン事業を強化している（出所：せたが屋公式Webサイト）

2016年ごろから買収を活発化

　吉野家HDは2016年にせたが屋を子会社化した。せたが屋はその名の通り、東京都世田谷区に本社を置き「せたが屋」「ひるがお」「中華そば ふくもり」などの店舗を手掛け、国外ではニューヨークにも出店している。せたが屋は2種類の煮干しを使った魚介系のしょうゆラーメンを提供し、ひるがおは魚介系の塩ラーメンを売りとしている。

　2000年に創業し、2016年時点では年商約15億円・14店舗まで成長していた。SNSでも話題になることが多く、吉野家HDは安定軌道に乗ったせたが屋に狙いを定めたとみられる。

　続いて2019年には、ウィズリンクを子会社化。とんこつ鶏ガラしょうゆの「ばり馬」、鶏白湯スープの「とりの助」がメインブランドで、買収当時は国内58店舗・海外28店舗を展開し、海外事業にも強いのが特徴だった。地域別では中国地方を中心に展開し、海外ではインドネシアなど東南アジアに出店している。

海外事業に強みを持っていたウィズリンク（出所：とりの助公式Webサイト）

　せたが屋とウィズリンクの買収以降、吉野家HDはラーメン事業で海外出店も進めてきた。2024年にはせたが屋の韓国1号店を出店したほか、ばり馬の欧州初店舗も出している。