もちろん、フレッシュネスバーガーの店舗数は微増であることから、「苦境」とまではいえない。ただ、ここ数年でもハンバーガーチェーンは増えており、競合は多い。
特にロッテリアは、「ゼッテリア」という少し高めの商品を提供する業態を増やしつつある。これらは、フレッシュネスバーガーにとって大きな脅威となるだろう。そのため、このまま「個性」を出せずにいると、フレッシュネスバーガーに本当の意味での「危機」が訪れるかもしれない。
では、その打開策はあるのだろうか。
前述の通り、フレッシュネスバーガーは創業以来「バーガーカフェ」をコンセプトとして掲げており、他のファストフードと比べて、カフェメニューが充実していることを特徴としてきた。筆者の個人的見解だが、ここに発展の余地があると考えている。
特に都心部を中心にチェーンのカフェはどこも盛況であり、その数は増え続けている。背景にはコロナ禍を機に普及したリモートワークや、飲み会需要減少があると考えられる。こうした需要の受け皿になっているのが、チェーンのカフェなのだ。これらの「カフェ需要」を満たすことで、フレッシュネスバーガーがシェアを拡大できる可能性はある。
こうした方向性で出店を拡大するのか、あるいは全く異なる戦略で店舗を増やすのか。いずれにしても、難しいかじ取りが求められている。
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。
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