都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背後にある背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
「また、高層ビルができるの……?」
そう思う人も多いかもしれない。
六本木ヒルズの隣、「六本木五丁目西地区」と呼ばれる場所に、いわゆる「第2六本木ヒルズ」が誕生する。「ヒルズ」と名の付いていることからも分かるように、ディベロッパーは森ビルで、住友不動産も開発に加わっている。
開発される土地の面積は約8万平方メートルで東京ドーム1.7個分。建設されるビルの延べ床面積を合わせると約108万平方メートル、つまり東京ドーム23個分ほどになる。明らかに、超大型開発といえるプロジェクトだ。2025年度に着工し、2030年度の開業を予定している。
しかし、世間の森ビルに対する風当たりは、あまり良くない。
2023年に誕生した「麻布台ヒルズ」は、「ガラガラだ」「廃虚化している」という声が多く寄せられており、メディアでは散々な書かれ方がされている。そんな中で出てきたのが、「第2六本木ヒルズ」計画なのだ。
ただ、筆者が実際に麻布台ヒルズを訪れてみて気付いたのは、「そこを訪れる人は着実に増えているのではないか」ということだ。それと同時に、メディアでの報じられ方と現実の姿に、どこか乖離(かいり)があるような気がした。
つまり、森ビルは必要以上に「嫌われている」気がするのだ。
それはなぜなのか。今回はその理由について考察したい。
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