都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背後にある背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
「再開発」が岐路に立たされている。3月11日、東京都中野区は「中野サンプラザ」再開発の新しい計画プランを認めないことを発表。これにより、中野サンプラザの再開発は事実上「白紙」になった。
同施設は老朽化にともなって再開発が決定され、2021年に中野区と野村不動産などの間で協定を締結した。2023年には工事を担当する施工者が清水建設に決まったものの、当初計画よりも工事費が900億円も増加することが判明した。そこで、コストの回収性を高めた修正案を野村不動産が提出していたが、それが却下され、計画が頓挫した形だ。
近年、こうした「再開発計画の白紙化や中断」が目立ってきている。3月27日には高輪ゲートウェイにJR東日本による「高輪ゲートウェイシティ」が誕生し、大規模再開発は各所で進んでいるが、同時に「頓挫する再開発」も生まれているのだ。
では、どうしてこれらの計画は頓挫してしまうのか。そして、そんな時代の再開発の姿はどのようであるべきなのか。具体的な事例を参照しながら考えたい。
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