コンビニでは各社のプライベートブランドでカップ麺の開発が盛んだが、コロナ禍で人々が外食を控えるようになると、有名店とタイアップしたチルド麺を盛んに出し始めた。外食ができにくい環境なら、せめて家で外食の疑似体験をと提案したわけだ。好評を博して現在でも同様の企画が各社で続いている。1000円の壁を大きく下回る価格も魅力だ。
「セブン-イレブン」では現状、「とみ田監修 濃厚豚骨魚介 冷しつけ麺」「八麺会公認 冷たい八王子ラーメン」の他、オリジナルで「冷し中華」などを販売。「ローソン」は冷・温どちらもそろえ、「ファミリーマート」は、まぜそばに力を入れているのが特徴だ。
それ以外でも、「ミスタードーナツ」が飲茶の一環としてラーメンを出していて、女性に人気だ。
このように、回転すしや居酒屋、ファミレス、コンビニのような他業種で、本格的なラーメンのメニューが増えている。そもそもなぜ、他業種がハイレベルのラーメンを出せるようになったのか。そこには冷凍やチルドの技術の進歩がある。
例えば、工場で作った出来たてのスープ、麺、チャーシューをそれぞれ瞬間冷凍して店に配送すれば、店員は解凍して、刻みねぎなどをトッピングするだけで、簡単に本格的なラーメンが完成する。
地元に密着したラーメンの個人店が、コロナ禍で時短・休業をしているうちに、外食チェーンやコンビニは減少した売り上げを取り戻そうとメニュー強化のためラーメンを導入し、有名店とのコラボを成立させてきた。顧客を奪われた個人店は苦境に陥る一方で、一部のチェーンストアと提携できる実力店のみが、より知名度を上げて勝ち組になっている。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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