ビジネスシーンにおいて、いかに相手の心をつかむか――。これは、短期的な仕事の成果だけではなく、職業人生全般、さらには個人の人生にも大きく影響してくる。そこで、『つかみ大全 仕事で成果を出し続ける人の思考と一生ものの「伝え方」の技術』(翔泳社刊)で、誰でも簡単に再現できるコミュニケーションスキルである「つかみ」を提言している森田 翔氏に話を聞いた。
ビジネスシーンで悩むことが多い「上司と部下の関係性」における「つかみ」の大事な5つのポイントとは。
森田 翔。日本つかみ協会代表。日本唯一の「つかみ」の専門家。製薬会社にて12年間営業職を務め、2万回を超える商談を経験。この時に習得した科学的根拠に基づいた「人の心をつかむ」伝え方を広めるべく、2020年に「日本つかみ協会」を設立。伝え方研修・コンサルティングで年間300回以上のセミナー開催、3,000人以上の受講者数を誇り、国内最大級の研修サイトで24ヶ月連続人気ランキングNo.1を獲得。現在は、星薬科大学、戸板女子短期大学の講師も務め、全国から講演依頼が殺到している。著書に『つかみ大全 仕事で成果を出し続ける人の思考と一生ものの「伝え方」の技術』(翔泳社)がある(提供:森田 翔氏)――上司から部下へ何かを伝える時、立場の違いやジェネレーションギャップから、齟齬(そご)が生まれることもしばしばあります。部下に対して、伝えるべきことをきちんと伝えるためのポイントについて教えてください
「君、何回言ったら分かるんだ!?」というように、何回言っても伝わらないという状況は、上司と部下、双方にとって不利益です。そういうすれ違いの原因のひとつは、部下側に「当事者意識」が欠如していることが考えられます。
そもそも「人は他人の話の80%を聞いていない」という報告があることを知っておいてください。ほとんどの人は自分のことにしか興味がないのです。したがって、上司は部下に当事者意識を持たせる工夫をして、まずはその話を真剣に聞いてもらう体勢を整えることが重要です。
例えば、部下が新入社員の場合、上司は「これって、新人時代に絶対にクリアしておきたい内容なんだけど」「成長が早い人はみんな、はじめにここを押さえているんだけど」と最初にひと言を添えるだけで、「今しか聞けない」「ここでちゃんと覚えないと、次のステップに進めない」と、部下は自分ごととして捉えるようになります。部下にいかに「自分のための内容だ」と思わせるかが勝負です。
――最近は、コンプライアンスの強化もあり、上司の方が、部下に過剰に気を使ってしまい、言いたいことが言えないという話も聞きます
上司と部下も人間同士なので、ベースとして「愛情を持って接しているか」が重要と考えます。部下を批判したり、指図したりするのではなく、寄り添う姿勢を示しましょう。具体的には、「自分も新入社員の頃はそうだった」「みんなもここで同じように悩んでいた」というような言葉掛けができたら、部下も少しずつ心を開いて、「この人は自分の味方だ」と思ってくれるのではないでしょうか。信頼関係が成り立っていれば、仮に上司が厳しいことを言わなければならない時でも、部下はしっかりと受け取ってくれると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング