――逆に、部下から上司に何かを伝える時、コミュニケーションを円滑に進める秘策はありますか?
部下から上司に話しかけるシチュエーションで圧倒的に多いのは、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」ですよね。その時に意識したいのは、できるだけ「数字を使うこと」です。
例えば、部下が報告をする際、自分の主観的な意見ばかりを述べてしまうと、上司は正確な判断ができなかったり、事実と異なって伝わったりする恐れがあります。数字は、どんな人にも同じ情報として伝わる世界共通言語です。「少々お時間をいただけますか」よりも「10分お時間をいただけますか」。そして、「ちょっと相談したいことがあります」よりも「2点相談したいことがあります」というように、数字を使ってください。
たったそれだけで、上司は「今なら時間あるよ」「後で戻ってきた時に声をかけるね」など、その場で瞬時に意思決定ができるためストレスフリーになるのです。忙しい立場であればあるほど、時間はものすごく重要です。だからこそ、しっかりと相手の時間を尊重して、ひと言目で全体像が見えるように準備をしてから話しかけることで、相手の心をつかむことができます。
上司と部下は、文化も違えば、育った環境もまるで違います。特にビジネスシーンでは、感覚や主観に偏った曖昧な表現ではなく、数字を使った客観的事実で伝えることを習慣にしましょう。
――では、何かで失敗してしまった時など、言いづらいことを上司に報告する場合は、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?
言いづらいことは報告を先延ばしにする傾向があると思いますが、そんなことほど、上司から指摘される前に自分から先に言いましょう。もちろん上司がイライラしている時は避けた方がいいでしょうが、逃げたり隠したりしてもその問題が解決されるわけではないので、とにかく速やかに報告してください。
また、余計なことを言わずに「こういう状態になってしまいました。なぜなら、こういうことを私がやってしまったからです」というように、結論とその理由を端的に伝えることが大切です。そして最後は、きちんと謝りましょう。
――例えばものすごく怒りっぽい上司だと、萎縮して伝えにくい場合もあると思います。そういう時はどうしたらいいと思いますか?
本来はまず上司に直接話をしますが、あまりにも大きな失敗だったりして言い辛いなら、話しやすい先輩に相談するなど、ワンクッション挟むのもいいと思います。
「これから部長に報告しないといけないのですが、どのようにお伝えしたらよろしいでしょうか」と、聞いてみるのです。これは営業マン時代の経験談ですが、相談に乗ってくれた先輩は私の失敗を思いっきり笑い飛ばした上で、「前向きな失敗は、『おとがめなし』だと思う」と励ましてくれました。その後、恐る恐る上司に報告すると、厳しい指摘はあったものの、「挑戦している姿勢は認める」と言われ、どん底の気持ちから救われたことを覚えています。
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