――部下へのダメ出しの仕方を間違えると、部下の成長につながらないばかりか、予想以上にダメージを与えてしまうことも。部下にネガティブな話題をうまく伝えるには、どんな心がけが必要ですか?
上司は部下の言動に対して、まずは全て「いいね!」と受け止めてほしいです。人は感情で動く生き物なので、正論を言うことが必ずしも正しいとは限りません。たとえ部下の意見が間違っていたとしても、それを真正面から否定したら、反発しか生まれないのです。「もう嫌だ」「こんなに否定されるならもう辞めたい」と思ってしまいます。したがって、上司は強引に従わせようとしたり、命令したりするのではなく、部下が自ら改善する必要性に気づくようなアプローチをしましょう。「〇〇ができないと損をする」という問題意識、「〇〇ができると得をする」という理想意識を自覚させることで、部下のやる気を引き出し、結果を変えることができます。
さらに、何を言っても受け止めてもらえるという「心理的安全性」はとても重要です。心理的安全性が確保されている会議では、参加者の発言量が増えると言われています。つまり、否定のない空間、環境、場所を作ることは、ビジネスリーダーの大事な役割なのです。
――では最後に、部下を褒める時や労う時、伝え方で気をつけるべき点はありますか?
先ほど、全部「いいね!」でポジティブ受信を、と言いましたが、見え透いたお世辞や口先だけの褒め言葉なら、言わない方がいいでしょう。コミュニケーションの大原則は、真摯に向き合うことです。
例えば、失敗続きの部下でも、いいところは必ずあります。それを見つけて、本音で伝えることが大切です。そして、褒める・労うのは、特別な成果をあげた時だけではなく、日頃の些細なことで構いません。「◯◯さんのおかげで本当に仕事が面白くなっている。ありがとう」とか、なんなら部下のミスを指摘する時ですら、「私も学びになった。ありがとう」と伝えましょう。結局のところ、ビジネスとは人を喜ばせることであり、どれだけ「ありがとう」という声が生まれたかに尽きます。感謝の連鎖で人と人がつながっていく。だから、人の心をつかむ大元には、「ありがとう」の言葉があるのだと信じています。
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