なぜパタゴニアは、古着を「新品よりもずっといい」とアピールするのか 背景にある哲学に迫る(1/4 ページ)

» 2025年02月25日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。


 アパレル産業において「リセールビジネス」、いわゆる古着ビジネスに注目が集まっています。Z世代をはじめとした消費者も、リセール品に対して以前より抵抗がなくなっており、むしろ再販商品にこそ価値を感じるといった傾向も見られます。

 中でもアウトドアブランド「パタゴニア」の取り組みが、業界に一石を投じたように感じられます。拡大するリセールビジネスについて、流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸が分析していきます。

「古着ビジネス」を分析する(出所:ゲッティイメージズ)

各社で進む「リセール」「アップサイクル」

 筆者は過去、『実は拡大が続く「リユース市場」 将来は“新品”を上回ると確信できる理由』という記事でリユースマーケットについて記述しました。リセールビジネスには当時から注目していたのですが、そのうち記事を書いた4年前から伸び率が高い部門であった、衣料品のリセール市場について今回は注目します。

 以前、古着といえばリサイクルショップや古着店のほか、「蚤の市」やフリーマーケットで取り引きされるのが一般的でした。近年はメルカリなどフリマアプリの登場により、インターネットを通じた取り引きが一気に増え、リセール市場拡大のきっかけになっています。

 また、セレクトショップ大手のビームスが2024年11月にオープンした「ビームス ライフ 横浜」では、同社初となる古着と古本販売の常設コーナーを設置しています。修理サービスを行う「ビームス工房」も設置し、販売から修理までを完結できるようにしています。

 リサイクルショップ大手のトレジャーファクトリーは、従来の路面店だけでなくショッピングセンターへも出店するようになりましたし、百貨店やセレクトショップでも、リセール品が新品と並んで売られることも珍しくなくなっています。

 リセールだけでなく、アップサイクルの取り組みも増えています。ウィファブリック(大阪市)では、アパレル各社で売れ残った新品衣料を買い取り、大幅に値引きして販売しており、汚れがあるなどの商品はパッチワークや刺しゅうを施して再販売しています。

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