「自己紹介」でやたらと話す人が気付いていない落とし穴 初対面の相手に好印象を持ってもらうには?(2/3 ページ)

» 2025年08月07日 05時00分 公開
[ツチヤサオリITmedia]

相手の名前を覚えて会話に盛り込むことで安心感を与える

――初対面の社外の人の心をつかむために、基本態度として覚えておくといいことはありますか?

 「私はあなたの味方です」というメッセージを相手に送る意味でも、ニコニコとした笑顔でいることはとても大事です。そして、先ほどお話したように、まずは傾聴すること。相手に先に話をさせるのです。7割「聴く」、3割「話す」くらいのバランスを意識し、相手の話の中にヒントを見つけ、相手の使っている言葉を用いながら、自分の話を盛り込むことで、親近感を与えることができます。

 相手の名前をきちんと覚えて会話の中に刷り込ませることも大事です。人は、自分の名前に愛着があるので、名前を呼ばれると、「自分が受け入れられている」「自分を大切にしてくれている」と感じるネームコーリング効果が働きます。名前は、メールや書類の宛名書きなどでも意識したいポイントです。ついうっかり間違ってしまうことは誰にでもありますが、名前間違いをしがちな人は、「誰にも興味を持っていない」というメッセージを放っているのと一緒。知らないところで信用を落としてしまっている可能性があるので、注意しましょう。

コミュニケーションを円滑に進めるには?(出所:ゲッティイメージズ)

つかみテクニック3 何事も先手必勝、ちょっとしたプレゼントを用意しておく

――ところで、初対面の前に、相手の心をつかむためにあらかじめ準備できることがあれば教えてください

 コミュニケーションは、先手必勝です。人は他人から何らかの恩恵を受けた時、「お返ししないと申し訳ない」という気持ちになる返報性の原理が働きます。なので、例えば私の場合は、セミナーや研修の時にチョコレートを差し入れするなど、自分からたくさんギブをしていくことを心がけています。そうすると、自然に話を聞いてもらえるようになるのです。

 他には、訪問先の会社の公式Webサイトを見て、ミッション・ビジョン・バリューの項目をチェック。どんな思いで事業をしている会社なのか、その会社の人たちが大事にしている信念は何かを確認し、そこで自分が共感したポイントをメモしておいて、初対面の時に少し触れさせていただくのです。そうすると、相手が気持ちよく自分たちのことを話せる環境が生まれます。自分の言葉よりも相手の言葉でミーティングを組み立てていく。そのための準備をお会いする前からしておくということです。

つかみテクニック4 チームでつかみたい時は、ゴールから逆算してビジョンを共有

――上司や部下と一緒に複数人で社外の人に対面する時、上司をうまくサポートしながら、自分が目立ち過ぎないよう、絶妙なバランスで相手の心をつかむには、どんな振る舞いが適切なのでしょうか?

 あらゆるビジネスシーンの基本は、目的からの逆算思考です。「今回の面談のそもそもの目的は何か」「どんな状態になったら面談が成功したと言えるのか」を事前にそのチームで話し合って、ビジョンを共有しておく。それだけでチームとしてのつかみの力は格段に上がると思います。

 自分のことを覚えてもらうよりも優先すべきものがあるなら、ちょっと控えめの自己紹介にするのもアリでしょう。なんとなく面会したら、なんとなくの結果しか出ません。プロフェッショナルは、狙って成果を出すものだと思います。

――そういう中でも、自分のことを少しでも印象付けたい場合は、どんなアプローチがありますか?

 複数人の面談だと情報過多になりがちです。「そんな人、いたっけ?」と忘れられる可能性が高まるので、その場合は自己紹介で自分の特徴を1個だけに絞るといいと思います。私の場合で言うと、「プレゼンの講師です」じゃなくて「つかみの講師です」と名乗るわけです。領域を絞ることでオンリーワンやナンバーワンになれる。これは、覚えてもらうのに非常に有効です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR