解体工事業の倒産が増加している。東京商工リサーチの調査によると、2025年1〜7月の倒産件数は36件(前年同期比12.5%増)だった。
このまま推移すれば、年間最多だった2024年の59件を上回り、過去最多を更新する可能性もある。建設業界ではゼネコンの好調な業績が目立つ一方、下支えとなる解体工事業は厳しい状況にあるようだ。
倒産の原因別では「受注不振」が23件と6割超を占めた。価格競争による値引きや受注競争で売り上げが落ち込んだ業者が多い。
資本金別に見ると1億円以上の企業はなく、1000万円未満が28件(構成比77.7%)と小規模事業者が中心という結果に。一方、負債額別では1億円以上が14件(同38.8%)に上り、東京商工リサーチは「重機や車両投資に加え、コロナ禍での資金繰り支援や借り入れが重荷となった可能性が高い」と指摘する。
解体工事業は、業績悪化などでコスト削減を過度に優先すると、騒音や振動、粉塵などのトラブル、さらには不法投棄や環境汚染につながるリスクがある。東京商工リサーチは「人手不足やコスト高が続くなか、小規模事業者の淘汰が進めば、再開発や建設計画そのものに遅れを及ぼす懸念も強まる」と分析している。
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