「警備業」の倒産が過去最多ペース 業界の約9割が苦しむ要因とは

» 2025年08月12日 12時57分 公開
[秋月かほITmedia]

 「警備業」の倒産件数が急増している。帝国データバンクの調査によると、2025年1〜6月の倒産件数は16件。上半期時点ですでに前年の年間件数(15件)を上回り、過去最多を更新するペースで推移している。

photo 「警備業」の倒産件数が急増している(出所:写真AC)

急増する警備業の倒産、要因は?

 工事現場やイベント会場における交通整理や安全確保を行う警備業は、慢性的な人手不足に悩まされている。2025年上半期に倒産した16件のうち、少なくとも5件が「人手不足」を倒産要因としていた。帝国データバンクの調査では、警備業のうち人手不足を感じている企業の割合は、2025年には正社員・非正社員いずれも約9割に達していた。

photo 警備業 倒産件数推移(出所:プレスリリース)

 背景には、賃金と労働環境の問題がある。賃金構造基本統計調査によると、警備員の現金給与額は26万8300円で、全体の33万400円を大きく下回っていた。低単価の受注によって利益の確保が難しい小規模事業者の中には、高騰する賃金水準に対応できず、事業継続を断念するケースが増加することが懸念される。

 労働環境に関しては、早朝や深夜などを含めた不規則なシフト勤務を組まざるを得ないケースも少なくない。働き方改革やワークライフバランスが重視されるなか、業界全体として働きやすさ向上への取り組みが欠かせない。

 帝国データバンクは「働き手に配慮した勤務体系の構築や、AIの活用によって危険がともなう作業を代替・補完するなど、労働者が安心して働ける環境を整備する対策が急務といえよう」とコメントした。

 調査の集計期間は2000年1月1日〜2025年6月30日で、集計対象は負債1000万円以上、法的整理による倒産。

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